研究課題
過去数十年という短いタイムスケールで行われた熱帯林伐採は, 数億年という長い進化的な歴史を背景に形成された植物多様性の急速な消失を引き起こし、植物群集の構造を変化させる。本研究では、進化時間スケールを考慮に入れた生物多様性の評価・将来予測を、熱帯林伐採が著しいマレーシアで行うことで、今後マレーシア(ボルネオ)で生物多様性の維持・回復に向けてどのような方法が有効かを検討する事が目的である。2020年度は、野外調査、DNAバーコーディング、解析を計画していたが、新型コロナウィルスの影響により野外調査を行う事が出来なかった。また、これまでの調査による標本の輸送についても同様に取りやめた。上記の理由により科研費の延長申請を行い2021年度まで継続することとなった。DNAバーコーディングについては、手元にある293サンプルで進め、約90%は終了した。約10%については現在再抽出を行っており、できるだけ100%に近づける予定である。また、得られたシーケンスデータを用いて現在系統解析を進めている。予備的な結果ではあるが、現地の研究者によって同定された結果とDNAバーコーディングによる同定結果を比較すると科レベルで約10%、属レベルで約30%異なっていた。今後は種同定を進め、地域の植物相をまとめる論文を準備し、標本画像をデータベースに登録し公開する予定である。また、群集系統解析を通して、誤同定が多様性評価において、どのような影響があるのかを評価する予定である。
3: やや遅れている
新型コロナウィルスにより野外調査を行う事が出来なかった。
今年度も野外調査を行う事は難しそうだが、行けそうであれば、研究目的は変えず、解析プロット数を減らすことで時間の遅れを取り戻す予定である。行けない場合は、現在のサンプルのみで多様性評価に注目した解析を進めていく。特に、誤同定が多様性評価にどのような影響を与えるのか明らかにしたい。
新型コロナウィルスの影響で海外での野外調査を行えなかったため。今年度、野外調査道具費、野外調査旅費、実験試薬費にあてる予定である。
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すべて 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 2件、 査読あり 2件、 オープンアクセス 2件)
Genes & Genetic Systems
巻: 96 ページ: 1-13
10.1266/ggs.20-00026
Acta Phytotaxonomica et Geobotanica
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