研究課題/領域番号 |
17K15187
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研究機関 | 北九州市立自然史・歴史博物館 |
研究代表者 |
蓑島 悠介 北九州市立自然史・歴史博物館, 自然史課, 学芸員 (80714435)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 昆虫 / 鞘翅目 / ガムシ科 / 形態 / 幼虫 |
研究実績の概要 |
野外調査と室内研究を並行して行った。鞘翅目ガムシ科の幼虫形態研究のほか、研究を進める上で分類学的に整理が必要な分類群について分類研究を行った。2論文が出版・受理済み、2論文を投稿中である。 (1)今年度の野外調査は国内で行い、日本産種の研究を進めた。主として九州の森林・池沼で調査を行ったほか、本州での調査も行った。 (2)野外調査で得られた標本はまず形態による同定を行い、困難なものはDNAバーコーディング法で幼虫と成虫の対応をつけた。その結果、これまで知られていなかった属の幼虫が明らかとなった。ガムシ科に加え、将来的に比較検討を行う予定である分類群についても収集・解析を進めている。一方で、分類学的基盤の整っていないグループでは、成虫・幼虫間の対応が着いても確実な同定ができないものもあった。これらのグループについては分類研究も並行して進めて行く必要がある。 (3)共同研究者らとの共同研究を進展させた。具体的にはチリと南アフリカから知られていたCylorygmus属の研究を行い、幼虫形態研究を担当した。研究の結果、南アフリカから知られていたものはCylorygmusではなく新属であること、また同属の新種が存在することが明らかとなり、これらを新属新種として記載した。本成果は論文が受理済みである。また、ニュージーランドに産するRygmodus属の幼虫形態、および生態について明らかにした論文を投稿中である。 (4)分類研究では、ラオス産のヒラタガムシの一種を新種として記載した。また、日本産のコマルガムシ属についての分類研究結果を日本甲虫学会で講演した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年は所属機関である博物館の特別展業務により例年に比べ研究時間が確保できなかった(特に野外調査に最適な時期に業務があった)が、これは当初から研究計画に織り込み済みであり、かつ対策済であったため、おおむね想定通りの進展となった。本年度実績の2論文に加え2論文を投稿中である点からもおおむね順調に進展しているとした。
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今後の研究の推進方策 |
今年度よりも広範な地域で野外調査を行い、新たな材料を得る。室内研究では引き続き形態学的研究および分類学的研究を進め、資料の論文化を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
一部の物品購入、野外調査、およびページチャージを次年度に繰り越した。これらの多くはすでに執行が確定しているため、翌年度分と合わせ執行する予定である。
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