研究課題
初年度同様、野外調査・博物館調査および室内研究を行った。4論文が出版され、1論文を投稿中である。(1)野外調査で得られた資料は形態研究をベースとした形態進化研究およびDNA解析に用い、研究を遂行中である。(2)標本の同定に必要となる情報を得るため、海外博物館調査(中国)を行い、同定標本の閲覧・タイプ標本の検討などを行った。(3)野外調査により得られた資料を形態により同定した他、DNA塩基配列の比較による同定を行った。幼虫・成虫間の対応が得られた資料のうち、未知であるものは形態の記載研究を行った。陸生種ではケシガムシ族オカツヤガムシ属の幼虫形態を初めて明らかにし、論文として出版した。(3)マメケシガムシ族マンゲツガムシ属の幼虫を初めて明らかにし、論文を投稿中である。本族は陸生種のほとんどが含まれるハバビロガムシ亜科系統で初期に分岐したグループとなり、形態進化を議論する上で重要なグループとなる。(5)新環境進出プロセスを考察する上で重要なCylominae亜科の形態研究を進めた。これは国際共同研究である。具体的には、訪花性ガムシ科のRygmodusの幼虫形態を突き止め、ガムシ科ではこれまで知られてこなかった生態タイプ「成虫が陸生・幼虫が水生」であること、成虫が花粉食であることを明らかにし、環境適応形質・生態進化について議論した論文を出版した。(6)幼虫・成虫資料を適切に扱うために必要な分類研究を進めた。具体的には、日本産ヒラタガムシ属の一部について、タイプ標本を検討し直した結果、過去の同定に誤同定が含まれており、これを今の図鑑まで引きずっていることがわかった。本結果は学会発表を行い、論文を執筆中である。
2: おおむね順調に進展している
課題内のサブテーマごとの進展についてはばらつきがあるものの、本年度4論文を出版し、1論文が投稿中であることからも、全体として概ね順調に進んでいるとした。
調査の過程で発見された未記載種・未記載の幼虫について記載研究を進めていく必要がある。分類学的に問題のある種が少なくなく、正確な同定のため博物館標本調査を行いたい。形態研究については成果が蓄積しつつある。野外調査・博物館調査と室内研究を推進し、成果公表につなげていきたい。
一部の物品・消耗品購入を次年度に繰り越した。
すべて 2018 その他
すべて 国際共同研究 (4件) 雑誌論文 (4件) (うち国際共著 3件、 査読あり 4件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (2件) 備考 (1件)
Entomological Science
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http://www.kmnh.jp/info/staff/minoshima/