野外調査 春から夏にかけて、北海道、東北、中部地域で広くサンプリングを行った。北海道、東北についてはこれまでの予備調査で把握していた地点も多くあったため、ゲンゴロウ科に関しては、地理的に離れた多くの地点で、1地点あたりの個体数もそれなりに採集することができ、遺伝子解析に必要なだけの十分な個体を得ることができた。中部については適切な生息地の探索が難しい地域が多く、あまり多くの個体を得ることはできなかった。そのため、調査地点については情報を整理し、再度検討していく必要があると考えられる。
遺伝子解析 遺伝子解析については秋以降行い、ミトコンドリアのCOI領域を読み、ベイズ法による系統樹の構築を行った。読んでいる遺伝子領域が1つのみであったことが影響し、種内の地点間の分岐に関しては信頼性の低い部分が複数みられた。外群を含めた種間の分岐は高い事後確率で支持されていた。まだすべての個体の遺伝子解析が完了したわけではないため、これについては今後さらに行っていく予定である。さらに今後はより多くの領域を読み、採集地点数を増やして系統樹を構築することで、系統樹の信頼性および年代推定の信頼性を上げていく必要があると考えられる。また、遺伝的な分化の程度を検討した結果、特に中部の地域や北海道が東北地方に比べて重要であることが分かった。そのため、これらの地域についてはさらに地点数及び個体数を増やす必要があると考えられる。
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