研究課題/領域番号 |
17K15192
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
杉浦 大輔 名古屋大学, 生命農学研究科, 助教 (50713913)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 微気象 / イネ / 葉面積指数 |
研究実績の概要 |
微気象測定と分光技術を組み合わせ、イネの群落成長の指標であるLAI(葉面積指数)を非破壊的に推定する手法の開発を目指した研究を行った。材料として、ジャポニカ型イネ品種(日本晴)およびインディカ型イネ品種(北陸193号)を用い、名古屋大学附属農場東郷フィールドおよび長野農業試験場で栽培した。各圃場の群落外にリモートモニタリング可能な微気象センサー・ロガーを設置し、微気象測定とデータ解析がスムーズに行えるようになった。イネ群落内に光合成有効放射および近赤外光を測定するセンサーを設置し、1分間隔で測定を行った。群落外と群落内の微気象データを組み合わせて解析することで、LAIを高精度で推定する手法を開発することができた。さらに、この手法を用いてLAIの季節変化を非破壊的かつ連続的に追跡できるようになった。各品種の連続的なLAIの変化を日付に対するロジスティック曲線で回帰することで、LAI増加特性の品種間および地域間差を定量的に評価することを可能とした。その結果、同様の施肥条件にも関わらず、両品種とも東郷フィールドより長野圃場で高いLAI増加率を示すこと、長野圃場において、日本晴は北陸193号並みのLAI増加率を示すことが、定量的に明らかとなった。各圃場の微気象測定の結果、日射量は長野圃場と東郷フィールドでほぼ同等であったが、夜間気温に大きな差があったことから、その差が長野圃場における非常に高いバイオマス生産の主要因である可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
群落内外の微気象解析を組み合わせ、LAIを非破壊的かつ連続的に推定する手法を確立できたことで、作物群落成長の微気象応答メカニズムの種間差・品種間差・地域間差を明らかにしていく準備を整えることができた。
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今後の研究の推進方策 |
前年度に確立した手法をさらに改良することで、LAIの推定精度を向上させる。また、生育初期のLAIが低い期間や、生育後期にLAIが減少していく期間におけるLAI推定法を開発することで、田植え直後から登熟期までの連続的なLAIの変化を追跡可能にしたい。 コムギやヒエなどの畑作物への応用展開も進めていく予定である。
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