ツバメの渡り行動と関係する形態的な特徴および渡りとその喪失がもたらす集団全体への影響について、越冬と渡りの両方が混在する個体群で調査する予定であったが、実際に調査地を訪ねてみると充分な個体数が確保できない状態であったため、研究方法を大幅に修正せざるを得なかった。それら新しい方法で行われた調査のうち1つはツバメと同属で、渡りを行わない種であるリュウキュウツバメについての調査であり、本種においての形態的な特徴と飛翔行動との関係について研究を進めている。本種を用いた研究の1つはすでに共同研究者が筆頭著者として論文にまとめ、発表済みとなっており、リュウキュウツバメの越冬期に働く自然選択の重要性を明かしている。本種を用いた他のいくつかの研究結果について現在準備中である。さらに、渡りを行うツバメを用いて、飛翔行動にもたらす形態の影響もこれらとは別に実験的に検証しており、現在投稿中となっている(なお、この研究の副産物的に得られた行動データについても現在投稿中である)。種間データについても収集しており、こちらも準備が済み次第発表する。なお、過去すでに取得済みのデータについては原稿としてまとめており、発表間近の状態になっている。安定同位体分析については引き続き分析手法と分析場所の選定を進めており、整い次第室内実験を行なって論文化を目指す。当初の計画を急に変更したために、大幅な見直しを迫られた本課題であるが、すでに発表済みの論文や今後発表予定の論文によって本研究分野の発展に多少なりとも貢献することができるだろう。
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