研究課題/領域番号 |
17K15195
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
伊藤 毅 京都大学, 霊長類研究所, 助教 (20711485)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 交雑帯 / 遺伝子浸透 / RAD-Seq / 形態 / 東南アジア / 生殖隔離 / マカクザル / エコゲノミクス |
研究実績の概要 |
サピエンスのゲノムにネアンデルタール由来のゲノムが見つかったように、自然下においても種間の交雑や遺伝子浸透は決して例外的な現象ではないことが明らかにされつつある。しかし、大型野生動物や絶滅種を対象に交配実験をすることは不可能なため、ヒトを含めた社会性霊長類の進化において交雑がどのように進行し、表現型の多様性にどのような影響を与えたのかについては、ほとんど明らかにされていない。本研究は、ヒト以外の霊長類を対象に、ゲノムワイドな遺伝マーカーを用いることで、自然交雑帯がいつ・どのように形成されたのかを高解像度に推定し、その上で、交雑に伴った表現型の進化とその遺伝的基盤を明らかにする。
平成29年度は、タイ王国チュラロンコーン大学と米国アリゾナ州立大学の共同研究者の協力をえて、アカゲザルとカニクイザルおよびそれらの自然交雑帯に由来するサンプルを対象にゲノムワイドSNP探索を行った。198個体分のサンプルを対象にddRAD-Seq(double digest restriction-site associated DNA sequencing)を行った結果、90%以上の個体で一塩基多型(SNP)データが得られた座位が10万以上となった。加えて、フィールドにおける遺伝子浸透や交雑の実態を非侵襲的な方法で明らかにすることを目指して、糞サンプルを利用したゲノムワイドSNP探索の手法を検討した。予備実験として、飼育下マカクザルの糞サンプルから、約800のSNPを得ることができた。また、東南アジアの霊長類における形態の地理的変異に関する研究成果を論文発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通り、初年度のうちに、約200個体分のサンプルを対象にRADSeqを行い、1万以上のゲノムワイドSNPを得ることができたため。
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今後の研究の推進方策 |
平成29年度の成果として得られたゲノムワイドSNPデータを用いて、1)交雑帯形成過程の推定、2)交雑の過程で選択を受けた遺伝子とその機能の探索、を行う。
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