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2017 年度 実施状況報告書

生活史を通した機能形質に基づく樹木群集形成プロセスの解析

研究課題

研究課題/領域番号 17K15201
研究機関国立研究開発法人森林研究・整備機構

研究代表者

飯田 佳子  国立研究開発法人森林研究・整備機構, 森林総合研究所, 主任研究員 等 (40773479)

研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2020-03-31
キーワード樹木群集 / 機能形質
研究実績の概要

自然撹乱などの変動する環境下で共存樹種がどのように応答するかを予測するためには群集形成プロセスを把握する必要がある。樹木では葉や材などの種のもつ形質とその機能から動態と構造形成における一般的な傾向を調べることができる。多様性の高い樹木群集では種の生活史の平均の形質値を用いた先行研究が行われてきたが、種の形質は生活史を通して変化するため、生活史のどの生育段階で、どの資源利用の機能を担う形質に環境作用と生物的作用が生じ、群集構造が形成されるのかを明らかにする必要がある。本研究では、樹木群集の多様な構成樹種を対象に、形質、動態、群集構造の関係とその変化を生育段階に沿って把握する。
宮崎県綾町に設置された4 ヘクタールの長期動態観察調査区である綾リサーチサイトの出現樹種を選び、実生及び稚樹から葉と材のサンプルを採取した。稚樹のサンプリングは主に綾リサーチサイト近くの林縁及び林内で行った。33樹種の稚樹から、地上部(同化部・非同化部)のバイオマス及び個葉及び材の形質を測定した。個葉の形質としては、葉面積比(SLA)、厚さ、硬さ、含水量を測定した。材サンプルからは材密度を測定した。綾リサーチサイト周辺で採取した種子を発芽させ、九州支所内の温室及び苗畑で実生をポットで生育した。発芽後3ヵ月以上経ち本葉が十分に展葉した実生を収穫し、地上部及び地下部のバイオマスを測定した。測定可能な場合は、個葉及び材の形質も稚樹と同様に測定し、13樹種を収穫し終えた。今後、サンプリングする樹種や生育段階を増やし、このような種間の変異が実生、稚樹、成木の生育段階でどのように異なるのか、また、それらが動態特性や分布などとどのように関連しているかを検討する予定である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

平成29年度は初年度であり、また、豪雨なども多く、野外調査の計画が立てにくかったが、順調にサンプル採取を遂行することができた。
稚樹のサンプリングは主に綾リサーチサイト近くの林縁及び林内で行った。33樹種78個体の稚樹から、地上部(同化部・非同化部)のバイオマス及び個葉及び材の形質を測定した。個葉の形質としては、葉面積比(SLA)、厚さ、硬さ、含水量を測定した。材サンプルからは材密度を測定した。綾リサーチサイト周辺で採取した種子を発芽させ、九州支所内の温室及び苗畑で実生をポットで生育した。発芽後3ヵ月以上経ち本葉が十分に展葉した実生を収穫し、地上部及び地下部のバイオマスを測定した。測定可能な場合は、個葉及び材の形質も稚樹と同様に測定し、13樹種158個体を収穫した。

今後の研究の推進方策

平成30年度は平成29年度測定できなかった樹種の稚樹および成木の葉や材を採取する。生葉の面積、硬さ、厚さなどは調査地で採取後24時間以内に測定する。サンプルは研究室に持ち帰り、70度で72時間乾燥させ、乾燥重量を測定し、化学分析用に粉末にする。
平成29年度に整理した長期観測データを元に、構成樹種の成長率や死亡率を推定する。
平成31年度までに測定した対象樹種の実生、稚樹と成木の形質値を整理し、化学分析も行い、種間の変異が実生、稚樹、成木の生育段階でどのように異なるのか、また、それらが動態特性や分布などとどのように関連しているかを検討する。

次年度使用額が生じた理由

予定していた実験補助を雇うことができなかったため。翌年度にサンプル処理を行う場合に雇う実験補助の賃金に充てる予定である。

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公開日: 2018-12-17  

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