日本人集団の向社会的行動と遺伝子多型との関連を検討するため、健常大学生に対して経済ゲームを実施した。同時にアンケートにより共感特性、所属欲求、ADHD傾向、ASD傾向などの個人の性格・発達特性を把握した。解析対象とした遺伝子多型はセロトニントランスポーター遺伝子多型(5-HTTLPR)、オキシトシン受容体遺伝子多型であった。結果、5-HTTLPRの日本人に少ない型が利己的な金銭授受をしやすかった。一方でADHD傾向が高いほど平等な分配をしやすい、コミュニケーションが苦手なほど平等な分配をしないなど発達障害特性との関連があり、向社会的行動と発達特性との関連を考慮する必要があることが分かった。
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