研究課題
アブラナ科植物(Brassica rapa)における種内一側性不和合性因子SUI1, PUI1の機能解析において、第一点目として取り組んできた花粉側劣性発現機構の解析では、PUI1-1, pui1-2の両ホモ個体、ヘテロ個体の葯由来RNAを用いた発現解析からPUI1-1/pui1-2ヘテロ個体の葯において双方のPUI1アレルが発現することを明らかにし、日本育種学会133回講演会(九州大学)にて発表を行った。さらに、花粉と葯組織を分離し詳細な発現解析を行い、PUI1が葯組織ではなく、花粉粒において発現することを見出した。この結果はPUI1が主に配偶体的に機能することを示唆するものであった。胞子体的自家不和合性の代表ともいえるアブラナ科植物において、その認識因子の遺伝子重複産物と考えられるSUI1-PUI1による一側性不和合性現象が雄性側において配偶体的にふるまうことを明らかにし、日本育種学会135回講演会(千葉大学)において発表した。さらに、配列多型解析とその遺伝分析の結果、日本で栽培されるハクサイの大部分が機能的なSUI1を有していることを見出すとともに、興味深いSUI1のドミナント・ネガティブアレルの存在を確認した。この結果は、SUI1が自家不和合性の自他認識因子であるSRKと同様に二量体で機能することを示唆するものである。本研究成果の応用により、これまでに報告のない、SRKのドミナント・ネガティブアレルの作成、さらには自家不和合性によって育成されたF1世代において自家和合性となる新品種を作り出すことが可能であろうと考えられる。本研究期間内にアブラナ科植物の受粉時における柱頭・花粉側の両認識因子である、それぞれSUI1, PUI1を基軸とした認識機構と花粉拒絶機構の実態を明らかにした。
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