研究課題/領域番号 |
17K15213
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研究機関 | 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構 |
研究代表者 |
浅野 賢治 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 北海道農業研究センター, 主任研究員 (80547034)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | ばれいしょ / そうか病 / 抵抗性 / 遺伝解析 / オミクス解析 |
研究実績の概要 |
そうか病抵抗性が極強のユキラシャと弱のながさき黄金の雑種後代180系統について、研究代表者が開発した圃場での精密評価系を用いてそうか病抵抗性の評価を実施した。そうか病菌S. turgidiscabiesの94-3株の培養物に畑土、ピートモス、川砂を加え菌密度が1.0×107 cfu/gの汚染土壌を作成した。直径10cmのジフィーポットに供試系統の塊茎を入れ、その上に作成した汚染土壌を加え畑に植え付けた。評価は3株2反復で行った。慣行法に従い栽培管理を実施し、地上部が枯凋後に収穫、発病調査を行った。収穫した塊茎について、以下の基準に基づいて7段階に分類し、各塊茎の発病面積及び発病塊茎数から罹病度を算出した。0 :発病なし、0.5:塊茎表面の1%未満または病斑数1個が観察される、1:塊茎表面の1~3%未満または病斑数2~3個が観察される、2:塊茎表面の3~13%または病斑数4~10個が観察される、3:塊茎表面の14~25%または病斑数11~20個が観察される、4:塊茎表面の26~50%または病斑数21~30個以上、5:塊茎表面の50%以上または病斑数31個以上。罹病度=∑(発病指数×塊茎数)/(6×調査塊茎数)×100、発病率=(発病塊茎数)/(全塊茎数)×100として算出した。 本年はそうか病の感染時期とされる塊茎肥大初期に降雨が続き圃場が湿潤状態であったため、乾燥状態で発病が助長されるそうか病の発病が全体的に低かった。本年の罹病度は最大54.9、最小0の間、発病率は最大87.8%、最小0%の間で連続的な分布を示した。親品種であるユキラシャは、罹病度は1.8、発病率は11.9%、ながさき黄金は、罹病度は20.7、発病率は61.2%であり、雑種後代では超越分離が見られた。 平成29-30年の2カ年の評価結果に基づき、抵抗性強系統群と弱系統群を各20系統選抜した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成30年度に予定していた雑種集団の抵抗性評価を計画通り達成し、2カ年の評価結果に基づき抵抗性強系統群と弱系統群を選定できた。
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今後の研究の推進方策 |
今年度までの2カ年の結果を元に選抜した抵抗性強系統群と弱系統群を栽培し、葉からDNAを抽出し全ゲノム上の遺伝子型を取得する。当初Rad-sequence法による遺伝子型取得を計画していたが、表現型調査の結果に誤りがあった場合にもその個体を解析から除外できるように系統別にSolCAPで遺伝子型データを取得する計画に変更する。また、そうか病感染時期の植物体を用いてNMRメタボロミクスにより主要な代謝物を網羅的に解析する。メタゲノム解析用のサンプリングとDNA抽出も実施する。これらの解析を通じてそうか病抵抗性の、マーカー候補を探索する。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度中に一部系統の遺伝子型データの取得を予定していたが、データの解析が予定より遅れ遺伝子型を取得すべき系統の選定が間に合わず、遺伝子型データの取得を次年度に変更したため。 抵抗性の評価結果に基づき選定した系統の遺伝子型データの取得を令和元年度に実施するため、遺伝子型取得のための費用に予算を多く使用する。また、メタゲノミクス解析及びメタボロミクス解析に用いる消耗品の購入やそれらのサンプリング等に必要な実験補助のための人件費として使用する。
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