天水田では、土壌中の水分布が空間的にも時間的にも大きく変動し、このような土壌水分変動は根系発育さらには地上部生育に影響を与える。よって土壌水分変動条件に対する根の外部形態変化と内部組織構造変化との関係性を、根齢の違いに注目して評価した。また、天水田栽培でイネ生産性の低下要因となる土壌環境ならびに気象環境の実態について調べた。その結果、根長増加と通気組織と皮層内厚壁組織の発達が土壌水分変動条件への適応性に貢献していたが、これらの反応は同じ部位で同調していなかった。フィリピンでの調査研究の結果、収量低下の主な要因は、雨季では低い日射量、乾季では乾燥と窒素欠乏の複合ストレスであった。
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