少低温要求性ニホンナシ品種の早期選抜方法の検討を目的として、F2系統群を用いてのRAD-seq解析を行った。 2013年度~2015年度に行った休眠深度の評価結果より、低温要求量の多少の決定には量的形質遺伝子が関与していると示唆された。 また、全F2系統群を用いてのRAD-seq解析を行った結果、約5万6000個の変異が検出された。そこで、3ヵ年の発育指数が3.3以上であった個体を少低温要求性系統、発育指数が3.3未満であった個体を多低温要求性系統として選抜し、LOD値の高い変異箇所の再検索を行った。その結果、LOD値が6.0以上を示す変異箇所が209検出された。その中には、シロイヌナズナで開花遅延との関連性が示されているAP2-like ethylene-responsive transcription factorが確認された。また、休眠打破との関連が深い遺伝子も多く確認されたており、これらの変異箇所の解析により、少低温要求性品種を選抜するためのマーカーの開発が可能になると推察された。 併せて、少低温要求性品種の中間母本候補であるAF1系統群の評価を行った。AF1系統群の発育指数の評価からもQTLの関与が示唆される結果となった。
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