一般的に花弁の内層にはアントシアニンが蓄積しないが,蓄積させることができれば花色の改変方法の一つとなる.本研究では,花弁背軸面表層にも蓄積がみられないカーネーション品種を用いて,花弁の各細胞層においてアントシアニン蓄積の能否を決定する遺伝子の特定を試みた.同品種は花弁に白縁模様も有し,この白色周縁部と有色中心部でのRNA-seqの結果,アントシアニン蓄積と発現傾向が一致する6つの遺伝子を見つけた.これらの遺伝子に関して,レーザーマイクロダイセクション法で獲得した花弁三細胞層サンプルで発現を比較し,細胞層でのアントシアニン蓄積を制御すると考えられる遺伝子として新規のbHLH転写因子を見出した.
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