研究課題/領域番号 |
17K15229
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
兵頭 究 岡山大学, 資源植物科学研究所, 助教 (80757881)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 植物ウイルス / RCNMV / 活性酸素種 / 翻訳後修飾 |
研究実績の概要 |
活性酸素種(ROS)は,植物が病原体の侵入に対して効果的な免疫応答を示す上で重要なシグナル分子である.一方で,研究代表者らの最近の研究から,ウイルスが宿主ROS産生酵素RBOHを介して積極的に宿主細胞中のROS産生を促し,増殖に利用するという新たなウイルス増殖戦略が明らかとなり,植物-病原体間相互作用におけるROSの多面性が浮き彫りになってきた.しかしながら,いずれの場合においてもROSの下流は不明であり,その解明が必要である.本研究では,ROSを介したRCNMVタンパク質の翻訳後修飾制御に着目することで,ウイルス増殖におけるROSの意義を分子レベルで理解することを目指している.本目的を達成するために,red clover necrotic mosaic virus(以下,RCNMV)をモデルウイルスとして計画を進めた. 平成29年度に行った解析から,ROSのうち,スーパーオキシドアニオンが特にRCNMVの一細胞レベルでの増殖に重要であることが明らかとなった.宿主RBOHタンパク質由来ROSによって制御されるウイルス複製酵素タンパク質の翻訳後修飾の同定を試みたが,平成29年度に行った解析からは特異的な翻訳後修飾の同定には至らなかった.しかしながら,RBOH活性を阻害しない条件下において,RCNMV複製酵素タンパク質の翻訳後修飾を複数同定することに成功した.また,これら翻訳後修飾のウイルス増殖における機能を解析した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
特異的阻害剤を用いた解析から,スーパーオキシドアニオンが特にRCNMVの一細胞レベルでの増殖に重要であることを明らかとし,原著論文として報告した.また,当初予定していたROSに依存した特異的翻訳後修飾の同定には至っていないものの,RCNMV複製酵素タンパク質が感染細胞中でいくつかの翻訳後修飾を受けることを明らかにすることができた.また,これらの翻訳後修飾のうちのいくつかについて解析を行い,ウイルス増殖における意義を見出すことができた.以上のことから,全体として概ね順調であると判断される.
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今後の研究の推進方策 |
ROSに依存したウイルスタンパク質特異的翻訳後修飾の同定のために,RBOH阻害や解析に供する総タンパク質量を増やすなど,条件の改善に務める.並行して,既に同定済みの翻訳後修飾について,ウイルス感染における役割の解析を進める.
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次年度使用額が生じた理由 |
理由:平成29年度に予定していた解析の一部を次年度に行うことになったため。
使用計画:ウイルスタンパク質精製に用いる試薬,修飾部位特異的抗体およびその他消耗品の購入に使用する.研究成果発表および情報収集のための学会参加ならびに研究打ち合わせを行うための旅費を手当てする.
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