研究課題
本研究課題では、我々が同定したシロイヌナズナキチン受容体CERK1と相互作用するユビキチンリガーゼPUB4のキチンシグナル伝達における機能を明らかとすることを目指している。昨年度までの研究で、pub4変異体およびPUB4とサリチル酸合成酵素SID2の二重変異体を用いた解析から明らかとなったキチンシグナル伝達におけるPUB4の機能を論文としてまとめPlant and Cell Physiology誌に報告した。また、この過程で開発した新規の実験系についてもPlant Biotechnology誌に報告した。加えて同様に開発した新規技術についても現在取りまとめを進めている。当初、PUB4のユビキチン化ターゲット候補として解析してきたPUB4 interacting protein1(PIP1)に関しては直接ではなく間接的な制御の可能性が示唆されてきたが、この2つの分子間に存在し、PIP1のサプレッサーとして機能すると考えられる因子PIP2についても解析を進めた。酵母ツーハイブリット法によるin vitro解析ではPUB4とPIP2の相互作用は示されなかったが、ベンサミアナタバコ一過発現系を用いたBiFC法によるin vivo解析ではPUB4とPIP2の相互作用が見出された。この2つの実験系の矛盾は、生体内に存在するPIP1の関与が示唆され、PIP1を足場としたPUB4によるPIP2の制御が考えられる。また同時に進めた、LC/MS/MSを用いたPUB4ユビキチン化ターゲット解析からは、キチン依存的にユビキチン化修飾を受ける複数の候補因子を得ており、今後、ユビキチン化によるキチンシグナル伝達制御の解析が加速することが期待される。
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Plant and Cell Physiology
巻: 60 ページ: 1804~1810
https://doi.org/10.1093/pcp/pcz096
巻: 60 ページ: 2573~2583
https://doi.org/10.1093/pcp/pcz151
Plant Biotechnology
巻: 36 ページ: 275~278
https://doi.org/10.5511/plantbiotechnology.19.0921a