研究課題/領域番号 |
17K15241
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
熊野 匠人 筑波大学, 生命環境系, 助教 (70585025)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 新規代謝酵素発見 |
研究実績の概要 |
ピペリンは胡椒が生産するアルカロイドの一種で、辛み成分である。肝臓のCYP450酵素を阻害し、薬物代謝を抑制するというユニークな活性のため、クルクミンなどの生理活性物質の生物学的利用能を上昇させる作用や抗菌活性、抗酸化活性が知られている。その一方で、自然界においてピペリンを代謝する経路は知られていなかった。そこで本研究ではピペリンを分解する微生物を取得し、その菌が持つ分解酵素の同定・機能解析を目的としている。ピペリン分解菌は、ピペリンを単一の窒素源とする液体培地に土壌を添加し、集積培養したのち、同組成の寒天培地で生育した菌を単離し、取得した。本株のピペリン分解活性は培養上清に見られたことから、ピペリン分解酵素の精製を培養上清より行った。まず、培養条件の検討を行い、ピペリン変換活性を高める培養条件を決定した。次に、培養上清中のタンパク質を80%飽和濃度になるように硫酸アンモニウムを添加し、遠心分離により沈殿を回収して透析を行った後、陰イオン交換や疎水カラムクロマトグラフィーにより酵素精製を行った。その結果、SDS-PAGE上で単一になるまで本酵素を精製することができ、N末端部分アミノ酸配列も解析した。精製した酵素はピペリンを分解し、ピペリン酸を生じた。また、アミン修飾試薬であるNBDFにより、もう一つの分解産物がピペリジンであることを同定した。すなわち、精製した酵素はピペリンの構造中の第3級アミドを加水分解し、ピペリン酸とピペリジンを生成することを同定した。さらに、本酵素の諸性質として温度やpHに対する安定性、依存性と酵素動力学定数を求めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究は概ね計画通り進展しており、初年度の計画にあった、ピペリン代謝における初発酵素遺伝子の同定は現在進めているドラフトゲノム解析が終わり次第、すでに解析済みの本酵素のN末端部分アミノ酸配列に対応するORFを探索し行う。また、諸性質については基本的な解析を完了した。一方で、活性中心の触媒残基の同定、反応機構に関してはさらに研究が必要である。
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今後の研究の推進方策 |
まず、ドラフトゲノム解析が終了次第、精製した酵素遺伝子の同定を行い、その後、異種発現系を構築し、本酵素の大量調整を目指す。大量調整が成功したのち、基質特異性の検討や各種低分子化合物による阻害の有無、金属分析などさらなる諸性質の解明を行う。さらに本酵素の触媒残基の同定を行うなどして反応メカニズムの解明を目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
必要な物品等を購入した際の端数で、次年度分に合算し適切に使用する。
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