研究課題/領域番号 |
17K15257
|
研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
桝尾 俊介 筑波大学, 生命環境系, 助教 (10767122)
|
研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
|
キーワード | ピラジン / アミノケトン / 物質生産 |
研究実績の概要 |
Pseudomonas fluorescens SBW25株のピラジン化合物の生合成機構についての成果を国際学術誌に投稿し、これが受理・掲載された(Masuo et al. ChemBioChem 2020)。本生合成経路を構成するPapDは4-アミノフェニルアラニン(4APhe)をα-アミノケトンに変換するα-アミノ酸C-アセチルトランスフェラーゼである。本年度は、基質特異性の異なる新規PapDの探索と改変を行った。PapDのアミノ酸配列を基に作製した系統樹を基に、PapDと21%から68%の相同性を示す10種のPapD様タンパク質を選抜した。これらの組換え酵素を調製し、異なるα-アミノ酸に対する酵素活性を調べたところ、その多くが4APheを基質とすることが明らかとなった。しかしながら、4APhe以外のα-アミノ酸を基質とする酵素は得られなかった。これらの発現株を用いて4APheの微生物変換を行ったところ、3株において4APheから生産されたα-アミノケトンが自然重合・自動酸化され、ピラジンが生産されることが明らかとなった。そのうち、P. fluorescens F113由来のPapDはSBW25株のそれより比活性は低いものの、微生物変換では最も効率的に4APheをピラジンへと変換可能であることが示された。F113株由来のPapD発現株を用いることで2.7 mgの4APheから0.55 mgのピラジンを生産することに成功した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
種々のPapD様酵素を調製し基質特異性を調べたものの、4-アミノフェニルアラニン以外のアミノ酸を基質とするものが得られなかった。そのため、改変酵素を用いた種々のアミノ酸からのピラジン類縁体の生産が実施できていない。
|
今後の研究の推進方策 |
ランダム変異による改変酵素のスクリーニングを行う。現在、96ウェルプレートを用いてスクリーニングを行っているが、より有力な候補を取得するために、マイクロゲルを用いたスクリーニングなど、よりハイスループットな実験系を構築する。
|
次年度使用額が生じた理由 |
改変酵素のスクリーニングが当初の予定より遅れており、それに係る実験系の構築や遺伝子合成に関する支出が抑えられたため、次年度使用額が生じた。次年度は、よりハイスループットなスクリーニング系の構築やこれに伴う遺伝子合成などに助成金を使用する。
|