研究課題
前年度までに、細菌の新規ピラジン生合成機構を明らかとした。本生合成経路のPapDは、4-アミノフェニルアラニンをピラジンの前駆体であるα-アミノケトンへと変換する新規アミノ酸 C-アセチルトランスフェラーゼであった。PapDの基質特異性を改変できれば、これを用いて種々のアミノ酸をα-アミノケトンへと変換し、これを重合させることで側鎖の異なる多様なピラジンを生産することが可能となる。前年度までに、他生物由来のPapD様酵素、あるいは部位特異的変異を導入したPapDを調製し基質特異性を調べたものの、4-アミノフェニルアラニン以外のアミノ酸に対し十分な活性を示すものが得られなかった。そこで、本年度は、ランダム変異による改変酵素のスクリーニングを行った。まず、変異型PapDを発現する大腸菌ライブラリーおよび96ウェルプレートを用いたスクリーニング系を構築した。これを用いて、大腸菌ライブラリー1000株のスクリーニングを行ったところ、4-アミノフェニルアラニン以外のアミノ酸を基質とした際に活性を示す、20種程度の候補株を得ることができた。しかしながら、これらの精製酵素を用いた活性測定では、いずれの変異型PapDも目的アミノ酸に対して活性を示さなかった。本スクリーニングの酵素活性測定にはCoA-SHの比色定量を用いたが、その反応特異性が低いため擬陽性の株を多数取得してしまったものと予想された。目的の変異型PapDを取得するためには、より特異性の高い新たなスクリーニング系の構築が必要であることが明らかとなった。
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Bioscience, Biotechnology, and Biochemistry
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