研究課題
植物ホルモン「ストリゴラクトン」は、植物の「枝分かれ」という、農業バイオマスに寄与する極めて有用な形質を制御している。本研究では、まだまだ未解明な点の多いストリゴラクトン情報伝達機構について、その全容解明を目指し、受容体タンパク質D14を起点に構造生物学的/生化学的アプローチを仕掛けている。得られた成果は、植物本来が持っている生長のための潜在能力を顕在化・活性化させるための知見・技術として利用できる。今年度は、以下のような成果が得られた。ストリゴラクトン情報伝達機構の構造基盤解明に向けて、D14とストリゴラクトン機能制御リード化合物の複合体構造解析、および展開中のアゴニスト/アンタゴニスト候補とD14の複合体結晶化スクリーニングを実施した。得られたいくつかの結晶について回折測定を行うとともに、より適切な結晶化条件の探索を進めた結果、良好な回折斑点を与える結晶を安定的に得られる条件を見出した。ここから多くの化合物とD14の複合体結晶を取得し、様々な複合体立体構造の決定に成功した。さらに、決定した結合モデルをべースにした、制御剤の構造活性相関研究(新規制御剤のデザイン・創製)を行い、デザインした新規制御剤を用いた植物生理実験を共同研究グループと実施した。いくつかの新規化合物については、デザインの期待通り、またそれ以上の活性を示すものも得られている。これらの活性/特異性の高い新規制御剤についても、現在D14との複合体構造解析を目指し結晶化スクリーニングを実施している。以上の通り、今年度は、本研究最大の目的の一つであった植物ホルモン機能制御剤の結合モデルを決定することに成功し、この構造情報とこれまでの生化学データ、また共同研究先のデータを合わせて著名な国際学術雑誌への掲載が複数実現された。本成果は、本研究分野の更なる発展に資することが大いに期待できる。
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すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (14件) (うち国際学会 6件、 招待講演 1件) 備考 (2件)
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