本研究では,国内の森林において数年間に渡って渓流水質の調査を行っている集水域を対象に,窒素流出の時空間的な変化を規定する要因を明らかにすることを目的とした。また,水・物質動態を予測する既往モデルのうち,集中型モデルのPnET-CN,及び分布型モデルのTOPMODELを調査集水域に適用することで,森林集水域からの水・窒素流出モデルの精度向上を目指すことを目的とした。解析の結果,降雨時の水流出の再現性を向上させること,これまでの森林物質循環研究で重視されなかった下層植生や集水域外からの窒素流出の影響を加味する必要があることが,今後の課題として挙げられた。
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