研究課題/領域番号 |
17K15291
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研究機関 | 国立研究開発法人森林研究・整備機構 |
研究代表者 |
松下 通也 国立研究開発法人森林研究・整備機構, 森林総合研究所 林木育種センター, 主任研究員 (70624899)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | カラマツ / 繁殖 / 環境適応 / UAV |
研究実績の概要 |
ニホンカラマツを対象として、様々な産地に由来する多数の系統がクローンとして集植されている試験地(長野増殖保存園)において、繁殖と成長に関連する形質のデータを収集し、地域環境への適応性評価を進めている。共通植栽試験地において、気温や土壌壌含水率等の環境データを継続的に記録するとともに、ドローン(UAV)で撮影した空撮画像を解析することより樹冠サイズや葉群フェノロジーの季節的変化に関するパラメータを系統特性値として定量化した。また、目視によりカラマツの樹体に着生する球果数を数え、5段階の着果指数(着果なし:1 ~ 樹体全体に着果:5)を記録した。 樹高や直径等の成長形質や、樹冠構造および葉群フェノロジー等の解析を進め、系統(クローン)間のばらつきを評価し、産地による傾向があるか否かを確認した。2ヵ年にわたり、展葉期4月~落葉期12月まで複数回にわたる空撮画像を解析した結果、展葉の早い系統・遅い系統といった葉群活性状況の季節的な変化に系統間差が認められた。また本州天然分布域でも北限に近い産地では落葉が早い傾向であるなど産地による傾向が認められた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
手法面の検討等、おおむね順調に進展している。 研究期間を通じて、繁殖量のデータおよび成長特性に関するデータを着実に収集できている。また、試験区の気温や地温、土壌の含水率等の環境データを取得するため、環境測定に関しても継続的かつ安定的にデータ取得できている。さらに形質評価のさらなる高度化を目的とした、UAV(ドローン)を用いた空撮に関しても飛行高度や速度等のノウハウも蓄積し安定的に生育状況を評価できる体制が整った。
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今後の研究の推進方策 |
繁殖調査及び形質調査、試験地の環境調査を実施するとともに、これまで蓄積した一連のデータを取りまとめる。繁殖特性や、樹高・直径等の成長形質、樹冠構造および葉群フェノロジー等の解析を進め、環境に対する繁殖特性や成長形質の応答性における産地/系統間の違いを明らかにするとともに、地理的傾向があるかを確認し、最終年度の成果取りまとめを実施する。
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次年度使用額が生じた理由 |
天候状況等により出張見込みに変動が生じたこと、またコロナ対応等により下半期の旅費使用見込みが変更したため使用額が減少した。 使用計画として、状況を適切に判断しつつ調査等の出張旅費として使用するとともに、成果取りまとめによる論文等公表のための費用として使用見込みである。
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