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2018 年度 実績報告書

イオン液体は何故セルロースを溶かすことができるか:分子・ナノレベルでの溶解度決定

研究課題

研究課題/領域番号 17K15293
研究機関同志社大学

研究代表者

遠藤 太佳嗣  同志社大学, 理工学部, 准教授 (50743837)

研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2019-03-31
キーワードイオン液体 / セルロース / 溶解
研究実績の概要

本年度は、カチオンとしてプロピル基を側鎖に持つイミダゾリウム、アニオンとして3種類のもの(Cl-, 酢酸アニオン[OAc]-、リン酸アニオン[DMP]-)を選択し、3つのイオン液体[Pmim]Cl、[Pmim][OAc]、[Pmim][DMP]を合成した。これらのイオン液体のセルロース溶解能を、特に高濃度セルロース領域に注目して、広角X線散乱を用いて観察した。
既に報告している[Emim][OAc]と比べると、その溶解度は3種類のイオン液体いずれも、やや低いものであった。しかしながら、従来の目視での最大溶解度10~20%と比べると、X線から見たナノレベルの溶解度は、20~30%程度という極めて大きいものであることが明らかになった。
[Emim][OAc]と同じアニオンを持つ[Pmim][OAc]は、[Emim][OAc]と同様、セルロースを溶解させると、小角領域にピークが観察された。即ち、アニオン架橋(1つのアニオンで2つのセルロース鎖を繋ぐ)による自己組織化が起きていることが強く示唆された。一方、[Pmim][DMP]では、そのような小角領域のピークが見られなかった。[Pmim]Clでは、セルロースにもイオン液体にも存在しない、鋭い結晶性のピークが多数観察された。これは即ち、セルロースと[Pmim]Clでは、共結晶を形成することを意味しており、ピークの半値幅から求めた結晶子サイズは、元々のセルロースの結晶子サイズ(4 nm)よりも1桁程度大きいものであった。
以上より、イオン液体のナノレベルの溶解能は、目視のものよりも、極めて大きいことが明らかになった一方で、セルロースの溶存状態は、アニオン種に著しく依存することが分かった。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2018

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] 高濃度セルロース/イオン液体系における構造制御2018

    • 著者名/発表者名
      山口 遼,木村 佳文,遠藤 太佳嗣
    • 学会等名
      第9回イオン液体討論会

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公開日: 2019-12-27  

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