研究課題/領域番号 |
17K15302
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研究種目 |
若手研究(B)
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配分区分 | 基金 |
研究分野 |
水圏生産科学
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
小林 志保 京都大学, フィールド科学教育研究センター, 助教 (60432340)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 溶存有機物 / 難分解性溶存有機物 / 準易分解性溶存有機物 / 栄養塩循環 / 沿岸海域 |
研究成果の概要 |
分解に100日以上を要する難分解性溶存有機窒素は,海域の水質指標にはかかわるが生物生産に関わらないためその増加は近年問題となっている.一方,内湾上層水の交換時間は平水時でも20日程度であるため分解にそれよりも日数が必要な溶存有機態窒素は,栄養塩に戻るより早く湾外に流出すると考えられるが,この画分の溶存有機態窒素の挙動については不明点が多い.本研究では難分解ではないものの分解に20日以上要する準易分解性有機物の割合を有機物分解実験により実測し,流動モデルを用いてその湾外への流出フラックスが湾内への栄養塩流入フラックスの何割にあたるか算出することにより,栄養塩循環への影響を定量化することができた.
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自由記述の分野 |
海洋環境学
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
これまでに水域の生物生産環境への影響が注目されていた難分解性溶存有機窒素に加え,本研究では分解に要する期間が海水交換時間よりも長いために栄養塩に戻るより早く湾外に流出すると考えられる準易分解性溶存有機窒素のフラックスを算出し,それが陸域から流入した栄養塩の流入フラックスの何割にあたるかを示した.生物生産性を維持するための栄養塩濃度レベルの管理は沿岸海域で急務となっており,その成果は沿岸海域における持続的な生物生産と沿岸漁業の発展に,将来にわたって役立てることができる.また同時に,沿岸―陸棚海域においてCOD(化学的酸素要求量)などの水質指標の改善が進まない原因の解明にもつながると考えられる.
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