養成中の養魚の魚体長・魚体重を非接触に計測して成長過程を追うことは養殖生産効率の向上に必要で、民間企業・増養殖研究者の間では根強いニーズがある。本研究では、非接触な魚体長、体重推定の実現を目的とした3次元点群処理による養魚の魚体形状の画像計測と機械学習で体重推定を行い、体重推定システムの構築を目的としている。 昨年度では、3次元点群処理によるマダイの画像計測により魚体形状の可視化を空中試験で行い、マダイ魚体の片側側面の幾何学的な形状を量的に評価した。続いて水中で計測を実施したが、本研究で使用している平行ステレオ法が、水中と空中の屈折率の違いから3次元点群処理の実現が難しかった。水中での3次元点群処理を実現を検討したところ、ステレオ画像のマッチングが正しく行われるように画像処理を行ったところ、水中での3次元点群処理が実現できた。 つづいて、可視化された点群を用いて魚体重推定するために、点群から推定される魚体形状の特徴抽出を行った。魚体形状の特徴と体重の関係を確認し、魚体重推定に寄与するか検討した。魚体形状を表現する特徴パラメータで体重を推定すると推定確度が低い結果となった。魚体形状を特徴づけるパラメータの再検討、あるいは、3次元計測の正確度を向上させる必要が今後の課題としてあげられた。 また、3次元点群処理とは異なるDLT法による3次元計測を実施したところ、正確度1~2 cm程度で水中で魚体を計測できた。本手法による養殖マダイの成長をモニタリングし、魚体長・魚体重を推定できた。 本研究では、水中でのステレオ画像計測・3次元点群処理によるマダイの3次元魚体形状の推定が実現できた。体重推定確度に課題は残るものの、魚体計測から体重推定までの一連の作業過程を構築することが出来た。
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