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2017 年度 実施状況報告書

炭素・窒素安定同位体比分析によるサケ資源減少要因の解明

研究課題

研究課題/領域番号 17K15312
研究機関地方独立行政法人北海道立総合研究機構

研究代表者

越野 陽介  地方独立行政法人北海道立総合研究機構, 水産研究本部さけます・内水面水産試験場, 研究職員 (20747092)

研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2020-03-31
キーワードサケ / 安定同位体比分析
研究実績の概要

サケの資源量は近年減少が続いており,北海道の中でも大きな格差が生じているが,その原因ははっきりと明らかになっていない。サケでは,降海後の成長や餌環境がその後の生残に影響することが知られており,それらは初期減耗機構を明らかにする上で必要不可欠な知見であるが,このような知見は我が国では乏しい。そこでH29年度には,北海道の中でも比較的来遊が良好な網走地区で5月から7月にかけて沿岸調査を行い,サケ幼稚魚の栄養動態や他魚種との関係を明らかにするために,試料の炭素安定同位体比(13C/12C)および窒素安定同位体比(15N/14N)分析を行った。
沿岸で曳き網により採集したサケ幼稚魚の炭素安定同位体および窒素安定同位体比は,5月から7月かけて徐々に減少していった。これは網走沿岸への宗谷暖流の影響は現れる時期とほぼ重なったことから,宗谷暖流の影響を受けてサケの餌となる動物プランクトン相が変化していったこととサケ幼稚魚の同位体比の減少は関連がある可能性がある。また,岸側と沖側のサケ幼稚魚の成長率と炭素・窒素安定同位体を比較したところ,沖側で採集されたサケ幼稚魚は炭素・窒素安定同位体比が低く,成長率は高い特徴があることが分かった。
網走沿岸域では,カラフトマスが数も多くサケとほぼ同所的に分布していたため,両魚種の摂餌関係を調べるために,カラフトマスの炭素・窒素安定同位体比も分析した。その結果,安定同位体比に有意な差は見られなかった。実際に,胃内容物分析の結果も両魚種の餌生物組成が類似している結果となったため,両魚種の食性にほとんど違いが無いと考えられた。ただ,摂餌状況の指標となる胃内容物指数は両魚種で大きな違いは生じなかったことから,当地区では現段階では両魚種の競争関係は潜在的である可能性がある。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

H29年度には標津地区でも調査を行う予定であったが,傭船の都合がつかずサケの採集調査を行うことが出来なかったため,結果が出ていない状況にある。ただ,H30年度からは,問題なく当該地区での調査を行うことができるようになっている。

今後の研究の推進方策

これまでの計画通りに,網走および標津地区における沿岸調査を実施してサンプルを収集し,サケを中心とした沿岸食物網の把握をするとともに,他の生物との生物間相互作用がサケの初期減耗の一因となっていないかを明らかにする。また,今年度からは回帰親魚の鱗の安定同位体比分析も併せて行い,沖合生活期におけるサケの栄養段階と回帰との関係を調べる。

次年度使用額が生じた理由

H29年度に標津地区での漁船をチャーターした調査を予定していたが,船の都合がつかなかった。そのため,傭船料と採集できる見込みだったサンプルの前処理・分析費用が余ったために繰り越しが生じた。H30年度以降に行えなかった分の調査と分析サンプルの数を増やすことで,繰り越した分を消化できる見込みとなっている。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2018

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] 2017年春季の網走沿岸におけるサケ幼稚魚の分布と成長2018

    • 著者名/発表者名
      越野陽介・中村太朗・畑山 誠・虎尾 充・藤原 真・宮腰靖之・隼野寛史
    • 学会等名
      日本水産学会春季大会

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公開日: 2018-12-17  

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