北海道の網走地区と標津地区を対象として、海洋生活初期および索餌回遊期におけるサケの摂餌環境や栄養的地位の違いを調べた。網走地区で採集したサケ稚魚は、標津沿岸で採集した稚魚と比較すると利用している餌のサイズが大きく、成長速度が高かった。また、筋肉の炭素安定同位体比が低く、サケにとって好適な餌である冷水性カイアシ類の利用が多いと考えられた。2018年におけるサケ親魚鱗の最外年齢帯の炭素・窒素安定同位体比が低かったことは、この年に回帰したサケの肥満度が著しく低かったこととの関係が示唆された。これらの結果から、炭素・窒素安定同位体比は、サケの食性や栄養状態を調べる上で有用であると考えられた。
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