珪藻は海洋一次生産者の約4割を担う主要生産者であり、珪藻による栄養塩の吸収と同化は、海洋生態系の維持および物質循環の駆動力として重要である。珪藻では、細胞内外のNa+濃度勾配が栄養塩取り込みの駆動力であることが先行研究により報告されている。本研究では、栄養塩吸収に必要な細胞膜Na+排出ポンプの実体の解明を目標とした。阻害剤を用いた解析により、P型ATPaseがNa+排出に関与することを示唆した。また、膜不透過性のビオチン化試薬を用い、細胞表層タンパク質のビオチン標識に成功した。今後はビオチン化タンパク質を精製し質量分析装置で同定することで、Na+ポンプの同定につながると期待される。
|