研究課題/領域番号 |
17K15329
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
佐藤 赳 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 助教 (30756599)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 計量経済分析 / 空間統計 / リモートセンシング / GIS / GPS / 酪農業 / 草地 / 政策評価 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、圃場のGIS・リモートセンシングデータと生乳生産段階での品質データを結合したうえで計量経済分析を行うことにより、飼料用農地の管理から飼料品質、乳品質の情報を統合し、圃場から生乳生産までの一連の関係性を明らかにし、効率的な酪農業や安定的な生乳供給のための、最適な飼料用農地の土地利用や酪農家経営のあり方を考察することである。一連の研究において、空間情報や生乳品質等の生物物理的な側面を持ったデータを、より適切な形で統計分析・計量経済分析、または定量的な経済評価に活用することを学術上の課題としている。 2010~2016年の期間において、根釧地方のTMRセンターを中心とした地域の衛星画像解析を行い、牧草地、更新1年目の草地、飼料用トウモロコシの分布を明らかにした。併せて、2013年次、2016年次の収穫期直前の牧草地の植生指標を算出し比較した。また、オブジェクト分類による圃場のセグメンテーション化を行い、対象地の圃場の近似的なポリゴンを作成した。画像解析後のデータは、公刊の地形図、土壌、気象、集落界や農業センサスと結合しGISデータとして整備した。また、GPSによって飼料収穫作業の記録を行い、それぞれの圃場と収穫物を詰め込むバンカーの位置、道のり等を正確に記録した。 そのほか、草地更新と植生改善に関する定量分析を行いながら、粗飼料や生乳成分のデータと結合した分析を開始している。また、草地更新に関しては、その普及の経済的要因を空間計量経済モデルによる推計を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
一年目の研究実施計画は、衛星画像解析と根釧地方のうちのGISデータセットの構築、GPSを用いた収穫作業工程の把握、聞き取り調査と公刊統計データ分析を通じた実態把握の3点であるが、それら基盤となるデータセットの構築や実態把握は現時点で全て完了しており、予備的な推計や新しい推定手法の開発も行っている段階にある。
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今後の研究の推進方策 |
次年度の研究計画は、草地更新と植生改善や生乳量・生乳成分に関する定量分析、およびGISを用いた収穫作業の最適化シミュレーションである。草地管理や生乳成分の評価に関しては、地域の農家や営農支援組織、農作業受託組織との連携を密にして詳細なデータを取得・分析する必要があり、適正な管理義務・守秘義務を守り、成果をいち早く現場に還元することで、滞りなく研究を進める。最適化シミュレーションにおいては、既習のソフトウェア等にこだわらず、柔軟に適正・効率的な手法を取り入れ、作業を進めていく。
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