研究課題/領域番号 |
17K15332
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
川崎 章惠 九州大学, 農学研究院, 助教 (30598412)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 中小企業 / 経営 / 起業 / 林業 |
研究実績の概要 |
本研究は,中山間地域での雇用創出を目指して,林業請負業において独立・起業後に複数の労働者を雇用する規模まで成長するまでの経営条件を地理的条件,経営支援,経営収支状況について分析し,独立・起業モデルを可視化することを目的としている。林業の独立・起業に関する研究は、従来から林業作業を行う組織「組」制度研究などにみられるが、1990年代から急激に進んだ車両系重機をベースとした林業作業の機械化は,この間長らく定着していたチェンソーと林内作業車という比較的初期投資の少ない作業手段での独立・起業モデルからの大きな転換をもたらしており、本研究では特に林業の高度機械化段階における資金調達と独立後の経営安定に着目している。 既往研究を元にした独立・起業モデル(仮定)と森林組合の労働力確保戦略のタイプに基づき、平成29年度は素材生産の活発化がみられ、「従来の請負班体制を強化するタイプ」の森林組合が位置する地域にて,独立・起業し個人事業主あるいは法人として林業の作業請負を営む認定林業事業体を対象に対面調査を実施した。調査対象件数は計画より少ないものの、想定よりも詳細な経営データを収集でき、仮設では想定していなかった資金調達方法も確認できた。並行して、国や県による労働力育成や機械化に関する補助事業、独立・起業者に関する行政業務資料の収集を行った。これらは平成30年度に実施予定のアンケート調査の基礎資料となる。研究成果の公開については、本研究のための事前調査や基礎情報に関する学会報告を2件実施した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
申請した研究費用からやや減額しての実施になったため、研究計画及び支出の見直しが必要となった。そのため、申請当初計画していた平成29年度に実施する対面調査件数を達成できていないものの、想定をしのぐ質の情報を収集できた。
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今後の研究の推進方策 |
平成29年度の積み残しを解消するとともに、申請計画の通り,平成30年度は雇用者のいない個人事業主等を対象としたアンケート調査を中心に行うとともに,「請負班を維持しつつ直接雇用労働力を強化するタイプ」の森林組合が位置する地域にて独立・起業した事業主への対面調査を実施する。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成29年度当初の計画より,研究の進捗状況が遅れたため,旅費の使用額が少なくなった。また,支給額減額のため申請時に購入を検討していた物品を購入できず,再検討をしたため年度内に購入できず使用額が少なくなった。これらは,申請時の計画通りの目的に平成30年度に使用する予定である。
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