令和4年度は、令和4年3月に勤務先の変更があったため、調査地への距離が遠くなり、旅費がかかりましになることになったため、予算の都合上、研究計画を大きく変更することになった。令和4年度は新型コロナウイルス感染対策の緩和もあり、また居住地が感染者数の多い政令指定都市から田舎になったため、調査地へ訪問し、対面調査を実施することができた。予算の都合上、頻繁な対面調査が難しいことから、アンケート調査を中心に研究を実施した。林業分野においては近年1人や家族と従事するいわゆる一人親方と呼ばれる個人事業主の労災加入を進めており、通年で林業の請負業に就業するものは概ね労災保険第二種特別加入制度へ加入しているものと思われる。そこで福岡県、大分県、熊本県、愛媛県、滋賀県に所在する林業の労災保険第二種特別加入者で構成される団体を通じて、約510通のアンケートを発送・手渡しし、主に郵送にて回収したところ、現在まだ回収期限前の発送先もあるため回収中ではあるものの102通の回答を得ている。集計は未済であるものの、第二種特別加入者の団体を運営あるいは団体加入者へ事業発注する事業者への聞き取り結果からは機械化をしているものはごくわずかで、従来の自営林業者と大きく変わらない作業体系での請負事業の実施とみられる。本研究全体で明らかにしようとした独立・起業から機械化、そして雇用主となり新規就業者を育成する規模までいかに事業を成長させられるのか、という点では、雇用労働者ではない個人事業主にとっても機械化をすすめるのは容易ではない。本研究開始時に個人事業主で機械化を進めている事業主を対象とした調査を実施したが、起業当初は民間金融機関の信用の得難さ、機械化補助金の制約が実態のニーズとの乖離などから、協同組合系金融機関のない林業においては起業当初の機械投資のハードルが一段と高く、障壁となっている。
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