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2018 年度 実績報告書

近赤外光を用いた、糖異性体のin vivo測定法の確立

研究課題

研究課題/領域番号 17K15356
研究機関慶應義塾大学

研究代表者

田中 冴  慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 助教 (60770336)

研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2019-03-31
キーワード近赤外分光 / グルコース / 水分子 / 多変量解析 / 定量
研究実績の概要

本研究では、生体中のグルコース異性体比を計測する新しい手法を開発することを目的に、生体情報の取得に優れ、かつ、分子の構造情報をリアルタイムで検出できる近赤外光を用いた解析をおこなってきた。
最終年度では、昨年度に見出したグルコースのアノマー異性体間における近赤外光の波形の違いについてさらに詳細な解析をおこなった。近赤外光では、水素の二倍の質量をもつ重水素を用いることで、置換した部分由来のシグナルだけを抽出することができる。そのため、グルコースの異性体間における近赤外光の波形の違いがどの官能基に由来するのかを詳細に調べる目的で、重水素化したグルコース(glucose-1-d1: C1炭素の水素を重水素に置換、glucose-6,6-d2: C6炭素の2つの水素を重水素に置換、glucose-d7: すべてのC-HをC-Dに置換)を用いた測定をおこなった。この際、近赤外光と旋光度を同時に測定することで、溶液中のα型・β型それぞれのグルコースの割合をモニタリングし、各異性体における各官能基のシグナルを抽出した。これにより、定義上の異性体の構造の違いであるC1炭素におけるC-Hだけではなく、C6炭素におけるC-Hの違いも近赤外光の波形中に現れていることが示唆された。また、溶媒に重水(D2O)を用いることで、グルコース異性体間の波形の違いが、周囲の水分子からも由来している可能性が示唆された。以上の解析から、近赤外光の波形中には、予想されていたC1炭素における違いだけではなく、それに伴って生じる別の箇所の構造変化や周りの水分子との相互作用の変化が反映されている可能性が考えられる。次のステップとして、最終年度にゲノム編集技術を用いて作出済みの細胞を用いて異性体比の検出を試みる。
また、昨年度の結果については、最終年度に査読付き国際誌にて発表し、国際学会では最優秀ポスター賞を受賞した。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2018

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 3件、 招待講演 2件)

  • [雑誌論文] Quantification of anomeric structural changes of glucose solutions using near-infrared spectra.2018

    • 著者名/発表者名
      Tanaka S, Kojic D, Tsenkova R, Yasui M.
    • 雑誌名

      Carbohydr Res.

      巻: 463 ページ: 40-46

    • DOI

      10.1016/j.carres.2018.04.012

    • 査読あり
  • [学会発表] Quantitative Analysis of the Ratio of Glucose Anomers in Solution2018

    • 著者名/発表者名
      Sae Tanaka, Dusan Kojic, Roumiana Tsenkova and Masato Yasui
    • 学会等名
      The 6th Asian NIR Symposium
    • 国際学会
  • [学会発表] Quantitative Analysis of the Ratio of Glucose Anomers in Solution2018

    • 著者名/発表者名
      Sae Tanaka, Dusan Kojic, Roumiana Tsenkova and Masato Yasui
    • 学会等名
      International Diffuse Reflectance Conference
    • 国際学会
  • [学会発表] Analysis of Interaction between Glucose Anomers and Water Molecules2018

    • 著者名/発表者名
      Sae Tanaka, Dusan Kojic, Roumiana Tsenkova and Masato Yasui
    • 学会等名
      The 3rd Aquaphotomics International Symposium
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] 糖異性体のin vivo測定法確立に向けた解析2018

    • 著者名/発表者名
      田中 冴
    • 学会等名
      日本分光学会近赤外部会シンポジウム
    • 招待講演

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公開日: 2019-12-27  

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