研究課題
本申請課題では、大気中と子宮内環境における酸素濃度の違いに着目して研究を行っている。本年度の計画では、① ウシ胚および子宮内膜細胞を用いた低酸素細胞培養系を確立する ②通常の培養条件(大気中)および低酸素培養条件下におけるウシ胚および子宮内膜細胞の遺伝子発現を解析することにより、妊娠の成立に必要な候補因子を抽出し、個々の因子について発現解析を行う ③妊娠の成立に必要な低酸素応答経路を構築する ことを当初の目標としていた。①食肉処理場よりウシ卵巣組織および子宮組織を採取し、胚と子宮細胞を単離・培養し、各種細胞を用いた低酸素細胞培養系の確立を試みた。胚は卵胞から採取した卵子を用いて体外受精により作成し、ディッシュに接着させて増殖させることを試みた。しかし、現在までに反芻動物の着床期胚・栄養膜細胞のマーカーであるインターフェロン・タウ(IFNT)の発現を維持したまま増殖させることができておらず、そのため進捗していない。子宮組織からは、内膜上皮細胞および間質細胞の単離・培養を行い、通常の培養条件および低酸素条件下における培養条件検討を行っている。現在、低酸素条件において活性化することが知られている低酸素誘導性因子 (HIF)および低酸素関連遺伝子(PHD)の発現を指標として、実験に最適な低酸素培養条件を検討している。②③で設定している実験については未だ取り掛かれていないため、培養条件が決定次第解析に取り組む予定である。
4: 遅れている
用いる細胞の単離・培養および条件検討にあたり、当初想定していたよりも時間がかかってしまっており、予定していた解析まで進めていないため(4)遅れている とした。
現在、細胞培養系の条件検討から先に進めていないため、今後は検討を続けるとともに、細胞を分与してもらう、あるいは購入することも考え対応する。培養条件が決定次第、解析に取り組む予定である。最低限、有用な候補因子を決定するところまで行いたい。
節約しながら使用していたため若干の残額が生じたが、次年度の試薬購入費に充てる予定である。
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すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件、 オープンアクセス 4件) 学会発表 (1件)
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