研究課題/領域番号 |
17K15362
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研究機関 | 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構 |
研究代表者 |
石田 藍子 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 畜産研究部門, 主任研究員 (30414684)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | ブタ / アルギニン / Cat-2 |
研究実績の概要 |
これまでに、アルギニンおよびリジンの増給またはアルギニンの不足による栄養生理学的制御がブタ骨格筋のCationic amino acid transporter-2(Cat-2)発現量、一酸化窒素(NO)量、および一酸化窒素合成酵素(NOS:nitric oxide synthase)発現量、および筋線維型に及ぼす影響を明らかにすることを目的とした、ブタの飼養試験を実施済みである。28日齢で離乳した35日齢のブタを供試し、自由摂取、自由飲水で2週間飼養した(終了時体重約20kg)。実験区は、対照飼料、アルギニン不足飼料、リジン不足飼料、高アルギニン飼料を給与する4区を設けた。飼養試験終了時の血中のアミノ酸、インスリン、IGF-Iおよびコルチゾール濃度、骨格筋3部位(胸最長筋、菱形筋、大腿二頭筋)のNO量、骨格筋3部位のCat-2、NOS1,2および3のmRNA発現量を測定した。その結果、増体重、飼料効率、血中インスリン濃度およびコルチゾール濃度に給与飼料の影響はなかった。血中のIGF-I濃度は、給与飼料による有意な差があった。 また、培養骨格筋細胞(C2C12)を用いて、培地中のアルギニンあるいは/およびリジンを欠乏させる実験、および培地中のアルギニン濃度を欠乏から4倍まで変化させる実験を実施し、培養骨格筋細胞のCatsのmRNA発現量および筋線維型に及ぼす影響の検討した。現在までに、培地中のリジンと同様に、培地中のアルギニンを欠乏させるとCat-1のmRNA発現量は増加するが、Cat-2のmRNA発現量は変化しないことを明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究代表者が2018および20199年度に育児休業を取得したため、事業期間の延長を行い令和4年度までに変更した。これに伴い研究実施計画を変更したため、申請時の実施予定より進捗に遅れが生じている。
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今後の研究の推進方策 |
動物実験でおこなった栄養による処置により、体内に生じた状況を、培養細胞を用いて培地のアミノ酸濃度を変えることで再現する。また、培養骨格筋細胞を用いて、IGF-Iやグルココルチコイドを添加する実験、NO合成阻害物質を用いた実験、PGC-1α発現を促進および抑制知る薬品を用いた実験をおこなう。これらの条件がCat-2発現量やNO産生、筋線維型に及ぼす 影響およびその機構を検討することで、骨格筋細胞のCat-2発現と筋繊維型についてあきらかにする。
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次年度使用額が生じた理由 |
令和2年度に実施を予定していた培養骨格筋細胞を用いた実験が、コロナウィルス感染症対策により出勤できないために遅れていた。さらに、令和2年10月から令和3年4月まで産前休業および育児休暇を取得していたため実験が本年度へ先送りとなっている。4月から復職し、本年度に培養骨格筋による実験を実施するため、実験およびその分析にかかる資材に予定した金額をくりこすこととなった。
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