研究課題/領域番号 |
17K15367
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
大野 円実 北海道大学, 人獣共通感染症リサーチセンター, 博士研究員 (50794202)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | エネルギー代謝制御 / インフルエンザ |
研究実績の概要 |
本研究は、炎症反応以外の宿主応答に着目し、インフルエンザウイルス感染がどのようにして多臓器不全を引き起こすのかというメカニズムを明らかにすることを目的としている。 本年度はマウスにA/Puerto Rico/8/1934 (H1N1)株を経鼻感染させて作成したインフルエンザ重症化モデルを用い、ウイルス感染によって引き起こされる宿主応答についての詳細な解析を行った。血清を用いたメタボローム解析の結果から、インフルエンザウイルスの感染によってエネルギー代謝経路が阻害される可能性が示唆された。さらに、インフルエンザウイルス感染マウスはコントロールマウスに比べてインスリン抵抗性状態にある可能性も見出された。インフルエンザウイルス感染マウスの肝臓および白色脂肪組織においてエネルギー代謝関連遺伝子の発現量が大きく変化していた。メタボローム解析の結果はこの発現量の変化を反映していると考えられた。 糖尿病はインフルエンザを重症化させるリスクファクターとしてすでに知られており、ウイルス感染とエネルギー代謝制御の間に密接なつながりがあるように思われる。エネルギー代謝経路の阻害は臓器機能不全に寄与することが予想されるため、本研究はこれまでに明らかにされていない「ウイルス感染から重症化および死亡に至る経緯」を解明できると期待される。本研究を推し進めることで、ウイルスそのものではなく宿主因子をターゲットにした新規の治療法の開発にも寄与できると考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
年度途中で産休育休を取得したため約6ヶ月にわたり研究が中断されたが、今後の研究の方向性を決定するに足る成果を得られたため。
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今後の研究の推進方策 |
エネルギー代謝経路に焦点を絞って研究を進める。インフルエンザウイルス感染による、クエン酸回路および脂肪酸β酸化への影響を評価する。さらに、エネルギー代謝障害を改善する薬剤の投与がインフルエンザの症状を改善できるか検討する。具体的には、マウスの生残率と体重減少の程度の改善をマーカーとする予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
年度途中で約6ヶ月の産休育休を取得したので、当初の予定よりも物品の購入が少なかったため。次年度分と合わせて脂肪酸解析の外注、消耗品の購入、学会発表に使用する予定である。
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