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2018 年度 実施状況報告書

インフルエンザ重症化に関与する宿主因子の探索

研究課題

研究課題/領域番号 17K15367
研究機関北海道大学

研究代表者

大野 円実  北海道大学, 人獣共通感染症リサーチセンター, 博士研究員 (50794202)

研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2020-03-31
キーワードインフルエンザ / エネルギー代謝
研究実績の概要

血清を用いたメタボローム解析から、インフルエンザウイルスA/PuertoRico/8/34(H1N1型)(PR8株)感染マウスではクエン酸回路の中間代謝物濃度が低下しており、クエン酸回路におけるエネルギー産生が低下していることが示唆された。脂肪酸合成酵素であるAcetyl-CoA Carboxylase Beta (Acacb)、Fatty Acid Synthase (Fasn)及びStearoyl-CoA Desaturase 1 (Scd1)の遺伝子発現量が感染マウスの肝臓において大きく減少していた(Acacb, 0.21-fold; Fasn, 0.19-fold; Scd1, 0.0073-fold)。興味深いことに、感染マウスの肝臓において長鎖脂肪酸をペルオキシソームに輸送するトランスポーターであるATP Binding Cassette Subfamily D Member 2 (Abcd2)の遺伝子発現量は増加していたが(9.1-fold)、続く脂肪酸β酸化の律速酵素であるAcyl-CoA Oxidase 1 (Acox1)及びCarnitine Palmitoyltransferase 1 Beta (Cpt1b)の遺伝子発現量は変化がなかった。また、Aktリン酸化を指標としたインスリン感受性試験において、感染マウスの肝臓ではインスリンに対する感受性が低下していることが明らかになった。インスリンシグナルが阻害されることで、感染マウスでは糖の利用能が低下している可能性が考えられる。本研究から明らかになった、インフルエンザウイルス感染による宿主体内でのエネルギー代謝障害は重症インフルエンザの新たな治療標的として有望であると考えられる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

2017年8月から2018年2月まで出産及び育児に伴う休暇を取ったため、予定より研究の遂行に遅れが生じた。

今後の研究の推進方策

当初予定していた研究を2019年度に引き続き行う予定である。2018年度に予定していた論文作成については既に始めており、今年度中に投稿できると予想される。また、本研究成果の発表のため、10月に行われるウイルス学会への参加を予定している。

次年度使用額が生じた理由

2017年8月から2018年2月まで出産及び育児に伴う休暇を取得したため当初の予定よりも研究の遂行に遅れが生じたので、2017-2018年度に予定していた使用額に到達しなかった。既に研究期間の延長を申請し許可されているため、残額を2019年度に使用する予定である。
次年度使用額については、研究遂行に必要な消耗品(マウス、ELISAキットなど)の購入及び学会参加のための旅費に使用する計画である。

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公開日: 2019-12-27  

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