畜産環境における仔牛の下痢症は、人獣共通寄生原虫であるクリプトスポリジウム原虫 (Cryptosporidium parvum)およびウシロタウイルス (BRV)の腸管感染が主な原因とされ、両病原体の混合感染は頻繁に報告される。 研究代表者の研究グループは、農場での長期的な疫学解析から、ロタウイルスの顕性/不顕性感染は、その後に感染するクリプトスポリジウムによる水様性下痢の日数を有意に減少させること、更に、排出されるオーシスト数が減少する傾向にあることを示した。このことは、ロタウイルスへの感染がクリプトスポリジウムの動態に影響を与えていることを示唆している。そこで、本研究では、2種の病原体の共感染時の分子機構の解明を目的とする。本年度においては、 ・牛腸管上皮細胞株において、BRVを馴化させ、更に、感染時間を検討することで、ウシ腸管上皮細胞を用いた両病原体の共感染系を確立した。 ・また、In cell analyzerを用いたクリプトスポリジウムおよびロタウイルス感染数を定量する系の条件検討を行い、それを実験に用いた。 ・最後に、ロタウイルスのエンテロトキシンがクリプトスポリジウムの侵入に与える影響を調べた。
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