近年、混合感染による複数の病原体のせめぎあいの機構が注目されている。本研究のような二種以上の病原体のせめぎあいを調べる視点は、実際の家畜体内で生じている病原体の感染メカニズムへの理解を深め、今後の家畜疾病コントロールの一端を担うと考えられる。本研究において、ウシロタウイルスがクリプトスポリジウムよりも先に顕性/不顕性感染すると、仔牛のクリプトスポリジウム症が緩和されるということが明らかになり、それは細胞株レベルにおいても明らかとなった。 これらの分子メカニズムを複合的に明らかにすることは、未だ有効な薬剤やワクチンの存在しないクリプトスポリジウム症のコントロールの足がかりとなることが期待される。
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