• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2017 年度 実施状況報告書

三次元マウス肺がんモデルを用いたがん・血管内皮連関機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 17K15370
研究機関東京農工大学

研究代表者

臼井 達哉  東京農工大学, (連合)農学研究科(研究院), 特任講師 (80727652)

研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2019-03-31
キーワード肺がん / 三次元培養 / 血管
研究実績の概要

血管新生阻害療法は肺がん組織の新生血管を標的として,がんの成長と転移を阻害する治療法であり,現在VEGF の中和抗体や受容体阻害剤が主に投与されている。しかしながら,VEGFをターゲットとする薬剤の単独投与では抗がん効果が期待ほど認められていないことから,がん血管新生を標的とする新薬の開発が困難となっている。
近年,がん組織内血管は,がんへの酸素や栄養供給の役割に加えて,近接するがん細胞に影響を与えることが明らかになってきた。Luらは血管内皮細胞がJagged-1分泌を介して,大腸がん細胞の幹細胞性を亢進し,抗がん剤への抵抗性を促進させることや,転移のトリガーとなり得ることを報告しており,がん細胞・血管内皮細胞間の相互作用の重要性が示唆されている( Lu J, Ye X, Fan F, et al. Cancer Cell 2013; 23:171-185)。
そこで、肺がん上皮と血管内皮の相互作用をオルガノイド培養において再現するために,我々はマトリゲルに播種したマウス肺がんオルガノイド上にヒト臍帯静脈内皮細胞(HUVECs)を播種し,マトリゲルを介した共培養システムを考案した。
マウス肺がんオルガノイドとHUVECsを共培養すると,2-3時間後にHUVECsのマトリゲル上への管腔形成が誘導され,1日後まで持続的に観察された。共培養後2-3日が経過すると,HUVECsの管腔構造が崩れ,マトリゲル内のオルガノイドへの血管内皮細胞の遊走と接着が見られた。また,上皮細胞マーカーE-cadherin, 血管内皮細胞マーカーCD31の二重染色によってもオルガノイド内に,CD31陽性の細胞が認められたことから,マトリゲルを介した共培養によってオルガノイドへの血管内皮細胞の遊走および接着が引き起こされることが示唆された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

私は、肺がん上皮と血管内皮の相互作用をオルガノイド培養において再現することを目的として研究を行なった結果、マトリゲルを介した共培養によってオルガノイドへの血管内皮細胞の遊走および接着が引き起こされることが分かった。商業誌にその研究成果を発表し、高い評価を受けたことから、おおむね研究の進展があったと評価している。

今後の研究の推進方策

肺がんオルガノイドと血管内皮細胞の共培養によって生じる相互作用をより詳細に検討する。さらに、血管内皮細胞の培養上清あるいはオルガノイドの培養上清処置による細胞内シグナル解析についても引き続き行っていく。
また、血管内皮細胞共培養が上皮間葉転換に及ぼす影響やin vivoでの腫瘍形成能に及ぼす影響についても検討を行っていく。

次年度使用額が生じた理由

予定していた遺伝子解析が進まなかったので次年度への繰越金が生じた。
次年度では、235,400円を遺伝子解析とオルガノイド培養用の消耗品の一部に充てる予定である。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2018

すべて 図書 (1件)

  • [図書] ガンの分子メカニズムと治療戦略2018

    • 著者名/発表者名
      臼井達哉、佐々木一昭
    • 総ページ数
      54
    • 出版者
      ニューサイエンス社

URL: 

公開日: 2018-12-17  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi