研究課題/領域番号 |
17K15374
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研究機関 | 公益財団法人実験動物中央研究所 |
研究代表者 |
峰重 隆幸 公益財団法人実験動物中央研究所, マーモセット研究部, 研究員 (00791584)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | コモンマーモセット / 消耗性症候群 / 実験動物学 / 獣医学 |
研究実績の概要 |
研究者所属機関で消耗性症候群(Wasting marmoset syndrome)と診断したマーモセットに対し消化酵素剤の試験的治療を実施したところ、一部個体で著しい臨床徴候の改善が認められた。このことは研究者の仮説通り、消耗性症候群の病態に消化吸収が深く関与していることを示唆している。また消耗性症候群の血中バイオマーカーとして、ある物質が非常に有用であることを明らかにした。消耗性症候群罹患個体ならびに健常個体の消化液のpHおよび消化酵素活性値の測定は現在解析中である。 消耗性症候群の病理学的な解析として、病理組織学的な解析を実施している。その結果として、多くの罹患個体の空腸に特異的な病理組織学的な異常が確認された(現在投稿準備中のため詳細は述べない) また、消耗性症候群の内因(遺伝要因)調査の一環として、罹患個体家系調査をブリーダー施設までさかのぼって解析中である。現在は消耗性症候群の発症リスクとして明らかな遺伝要因は疑えていない。 国内外の他のマーモセット飼育施設の視察は順次実施しており、これまでに国外3施設、国内3施設の視察を実施してきた。その結果として、消耗性症候群の罹患率は各施設によってさまざまであり、海外施設において明らかに低かった。また血縁関係を研究者所属施設と同じくする国内施設においてもかなりの差があることが明らかになった。このことは消耗性症候群の病因に外因(食餌やその他飼育環境)などが関与していることを示唆するが、これは今後も確認していく必要がある。 現在は、これらのデータを学術雑誌に投稿準備中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の研究計画通り、消耗性症候群罹患個体における消化吸収不良の病態の一端を明らかにした。 また、研究計画で3年目に予定していた、海外研究施設への視察は初年度に前倒しで実施した。
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今後の研究の推進方策 |
今後は消耗性症候群個体の病理組織学的な解析をすすめるとともに、これまデータを学術雑誌に投稿する。
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