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2017 年度 実施状況報告書

急性期筋萎縮時の脂質メディエーター網羅的解析とその制御

研究課題

研究課題/領域番号 17K15379
研究機関神戸大学

研究代表者

三好 真琴  神戸大学, 保健学研究科, 助教 (50433389)

研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2020-03-31
キーワード筋萎縮 / 脂質メディエーター / トリブチリン
研究実績の概要

近年、急性の重症病態回復後に認められる筋力低下intensive care unit acquired muscle weaknessに対する骨格筋異化を抑制する介入の必要性が検討されている。急性炎症下では、運動は不可能であり、薬物と栄養投与による筋萎縮予防が重要である。本研究では、骨格筋の脂質メディエーターを網羅的に解析し、急性炎症下骨格筋萎縮への関与を明らかにすることを目的としている。また、抗炎症作用を有するトリブチリン経口投与による筋萎縮抑制効果も明らかにする。なお、トリブチリンは酪酸のprodrugである。
本年度は、急性筋萎縮モデルラットを確立し、トリブチリンによる筋萎縮抑制効果を明らかにした。エンドトキシン投与後6時間で筋萎縮に関連するユビキチンリガーゼであるatrogin-1とMuRF1のmRNA発現は増加しており、エンドトキシン血症の早期から筋萎縮が生じることが明らかになった。また24時間後にはオートファジーに関連するBnip3 mRNA発現も増加し、筋横断面積の減少が認められた。この効果は遅筋のヒラメ筋と比較して速筋の長趾伸筋で効果が著しく、筋線維タイプによる代謝動態が異なることも明らかになった。
トリブチリン経口投与はエンドトキシン投与によるatrogin-1、MuRF1、Bnip3 mRNA発現増加を抑制し、筋横断面積の減少をトリブチリン経口投与により軽減するという結果も得た。トリブチリンは食品成分であるため、安全に、しかも日常的に摂取することができる。日常的な酪酸摂取による認知症進行予防が最近になって報告されており、サルコペニアを介する各種病態での予後改善にも作用しうると考えられ、幅広い臨床応用への波及効果が期待できる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本年度はエンドトキシン投与による急性筋萎縮モデルラットを確立し、研究目的の一つであるトリブチリンの筋萎縮抑制効果を明らかにすることができた。

今後の研究の推進方策

来年度以降は本研究の大きな目的としている筋萎縮への脂質メディエーターの関与を明らかにするため、網羅的な脂質メディエーター測定・解析を行う。

次年度使用額が生じた理由

理由:当該計画予定よりも急性筋萎縮モデルラットに対するトリブチリン経口投与効果の検討が順調に進んだため。
使用計画:筋萎縮への脂質メディエーター関与を明らかにするための網羅的な脂質メディエーター測定には多くの経費が必要であると考えられるので、その測定のために使用する。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2018

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] Tributyrin経口投与によるエンドトキシン血症誘発筋萎縮抑制効果は骨格筋により異なる2018

    • 著者名/発表者名
      三好真琴、西山雄也、甲斐元規、前重伯壮、宇佐美眞
    • 学会等名
      第33回日本静脈経腸栄養学会学術集会(パシフィコ横浜)

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公開日: 2018-12-17  

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