研究課題/領域番号 |
17K15392
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
藤原 靖浩 東京大学, 分子細胞生物学研究所, 特別研究員 (50793064)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | HORMAD1相互作用因子 |
研究実績の概要 |
29年度の研究計画において、最も重要な実験は、HORMAD1の相互作用因子の探索である。HORMAD1は減数分裂期を通して局在がダイナミックに変化する因子である。それに伴ってその機能は複数あることが予想される。そのため、時期得意的な細胞を高い濃度で採取する必要がある。そこで、減数分裂の重要な誘導物質の一つであるレチノイン酸をマウスに投与することで、精巣内の細胞周期を一定の割合で揃えることに成功した。そうして得られた細胞とHORMAD1に対する抗体を用いて、質量分析を行いHORMAD1の相互作用因子の同定を試みた。その結果、HORMAD1同様減数分裂時に形成される軸構造体であるシナプトネマルコンプレックスの因子とそれに関連する因子が多数同定され、それらの因子がHORMAD1と相互作用していることが示唆された。さらに、HORMAD1と上で見つかった相互作用因子との間の相互作用は、生化学的な実験からはまだ十分証明することはできていないが、PLAと呼ばれる細胞標本上での近接度合いを調べる方法により証明することが可能であり、現在予備実験を進めている。 また、初期のホモログペアリングが起こると予想されているプレレプトテン期において、同定した相互作用因子のうち複数が細胞学的な手法により共局在することが明らかとなった。したがって、そうした共局在する因子も、初期のホモログのペアリング機構に関与していることが示唆された。これらの因子の機能を欠損したマウスをCRISPR/CAS9を用いた方法で作り出すための準備を現在進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度の計画は、生化学的手法を用いる事によるHORMAD1の相互作用因子の探索であり、上記の通り質量分析法を行う事で相互作用因子の同定に成功し、まだ再検討の余地があるものの生化学的な相互作用の検討も進行中である。したがって、現在までの進捗状況は、概ね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
上記で示したHORMAD1と相互作用因子との相互作用を、生化学的な手法および細胞学的に進めて行く。さらに、プレレプトテン期および減数分裂初期における両因子の局在の依存性を調べるために、新規に同定した相互作用因子のノックアウトマウスを作成し、免疫染色法により解析を行う。また、当初計画していた通り、HORMAD1のゲノム上の局在を調べるために、ChIP-qPCR法を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度は「スーパーエレクトロポレーターNEPA21」の購入をするのみで実験の遂行が可能であった。そのため、発生した余剰分は次年度で使用するのが適切だと判断した。
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