研究課題/領域番号 |
17K15396
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
岩森 督子 九州大学, 医学研究院, 助教 (10711509)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 精巣特異的細胞間結合 / Intercellular bridge / EPS / Blood-testis barrier / ノックアウトマウス / ノックインマウス |
研究実績の概要 |
精子形成には細胞間結合が必要不可欠であり、欠損すると雄性不妊になる。 これら細胞間結合には、Intercellular bridge(ICB)、Blood-testis barrier(BTB)、 Ectoplasmic specialization(EPS)などがある。こうした細胞間結合は細胞同士を物理的につなぐだけでなく、細胞間情報伝達などに機能すると予想されるが未だ不明である。本研究は、通常個別に研究される各細胞間結合の関連性に着目した他に例のないものであり、個々の細胞間結合の機能と連携作用を構造的および機能的に解明することを目的とする。申請者はICB構成タンパク質とEPS構成タンパク質が複合体を形成する事を発見し、そのうちの一つEPS関連遺伝子KIAA1210のノックアウトマウスを作製し現在解析を行っている。現在解析途中であるが、細胞支持のイメージが強いEPSに関する新機能を示唆する結果の他、KIAA1210のEPSあるいはICBにおける機能、ICBとEPSの関連性を示唆する結果を得ている。 さらに、細胞間結合関連タンパク質に蛍光タンパク質を融合発現するマルチカラーノックインマウスを作製し、精細管を培養状態でタイムラプス解析し精子形成における異なる精巣特異的細胞間結合を同時に動的に観察する。また、KIAA1210のノックアウトマウスとマルチカラーノックインマウスの交配によりKIAA1210欠損により変動する遺伝子を解析する。異質な構造体タンパク質の相互関連性と、精子形成における細胞間結合の新たな意義を探求する。 遺伝的背景が整ったマウスの解析までには時間を要するが、解析に向けて行った予備実験により新しい知見が発見された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ノックアウトマウスは遺伝的バックグランドの影響が出たと判断したため、戻し交配を入念に行っている。 ノックインマウス誕生後の解析に向け、予備実験で行っていた実験から十分な新しい知見が得られたため、論文を執筆中である。
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今後の研究の推進方策 |
ノックインマウスが誕生した際は、論文の内容を再確認するだけでなく、新しい知見が得られる事を期待する。 また、補足的な研究として提案していたノックアウトマウスとノックインマウスの交配により、遺伝子欠損がその他遺伝子に与える影響をメインに研究を継続する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
一細胞に対して複数の遺伝子組換えを考慮し、エレクトロポレーション装置の購入予算を初年度計上していたが、一遺伝子に対して遺伝子変異を行い、それぞれのトランスジェニックマウス作製、交配によるマルチカラートランスジェニック作製の方が時間はかかるが有用かつ確実という判断のもと、既存の類似システムを利用する事にした。 マウス作製および飼育に予定より格段に経費を要するため、次年度使用額を用いる。また、タイムラプス解析に学内支援の共焦点顕微鏡の使用料に用いる。
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