研究課題
若手研究(B)
昆虫の体色形成における共生細菌の関わりについて、緑色の隠蔽体色をもつチャバネアオカメムシとその腸内共生細菌を用いて、その分子-生化学機構を解析した。質量分析器などを用いた生化学分析、細菌置換実験、細菌ゲノム操作や共生器官の培養実験などの実験的アプローチを駆使して、宿主昆虫が共生細菌のつくりだす色素を自身の体色として利用していることを実証し、動物の多様性を生みだす新たな色素形成メカニズムの進化過程を提唱した。
昆虫科学
動物の体色は隠蔽や擬態、体温調節、種間/種内認識など、多様な環境に適応する上で重要な役割をになう。とりわけ昆虫類は、さまざまな種類の色素を体色形成に利用しており、それが色彩、紋様、適応戦略などにおける多様性の基盤となっている。こうした多様な色彩の背景にどのような分子・生理メカニズムがあるのか、またそのしくみがどのような過程を経て進化してきたかを理解することは、進化生物学における重要な課題である。