研究課題/領域番号 |
17K15409
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研究機関 | 秋田大学 |
研究代表者 |
松村 洋寿 秋田大学, 理工学研究科, 講師 (60741824)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | イネいもち病 / セロビオース脱水素酵素 / フラボヘムタンパク質 / 電子伝達反応 |
研究実績の概要 |
糸状菌Magnaporthe oryzaeにより引き起こされるイネいもち病が、我が国の稲作に与える被害量は年間十万トン、被害額は数百億円にも達し、最も深刻なイネ病害の一つになっている。その防除には、イネへの侵入に必要とされるメラニンの生合成系酵素に作用するMBI-D剤またはMBI-R剤、ミトコンドリア電子伝達系タンパク質に作用するQol系殺菌剤が多用されてきたが、現在、それらの薬剤への耐性菌が発生し全国的に分布拡大が見られ問題となっている。そこで、申請者は、新規防除法の開発を行うために、M. oryzae菌体外におけるセルロース分解に関与するセロビオース脱水素酵素(CDH)に着目して研究を進めている。CDHはフラボヘムタンパク質であり、フラビンドメインでセルロース分解物であるセロビオースの二電子酸化反応を行い、反応で生じた電子をヘムドメインが分子内電子伝達により授受する。その後、ヘムドメインから電子伝達パートナータンパク質へ電子伝達すると考えられているが、未だ不明な点が多い。本研究では、M. oryzaeのイネ感染におけるMoCDHの生理的な役割を明らかにすることを目的としている。本年度は、M. oryzaeが有する2種類のCDH(MoCDH1ホモログとMoCDH2ホモログ)の生物学的特性ならびに生化学的特性を比較するために、メタノール資化性酵母Pichia pastorisを用いてタンパク質発現系を構築した。発現させたMoCDHの酵素活性測定の結果、MoCDH1ホモログとMoCDH2ホモログともに高いセロビオース酸化活性を示したことから、既報の他の糸状菌由来CDHと同様に、セルロース代謝に関与している可能性が示唆された。さらに、M. oryzaeのゲノムデータベースから、CDHからの電子伝達反応に関与が予想されるタンパク質を探索し、遺伝子クローニングを行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
計画当初の目的通りに、M. oryzaeが有する2種類のCDHホモログの発現ならびにCDH電子伝達パートナー候補タンパク質のクローニングに成功した。しかし、当初予定していたM. oryzae菌体を用いたin vivo実験系で、栄養源の違いによるM. oryzae 中での当該タンパク質のmRNA量及びタンパク質発現量の比較は行えなかった。
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今後の研究の推進方策 |
来年度は、M. oryzae を用いたin vivo 実験系で、セルロース代謝系にMoCDHの関与がみられるか検討する。また、in vitro実験で、MoCDHホモログ1またはMoCDHホモログ2と、電子伝達パートナー候補タンパク質間の分子間相互作用及び電子伝達反応の検討を行う。Bia-core測定等で結合親和性の検討、Stopped-flow測定で電子伝達速度を解析する予定である。
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