研究課題/領域番号 |
17K15414
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
野村 亘 京都大学, 農学研究科, 特定助教 (60724292)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | TORC2 / Pkc1 / ホスファチジルセリン |
研究実績の概要 |
TOR(Target Of Rapamycin)は真核生物に保存されたタンパク質リン酸化酵素である。TORは機能的に異なる2つの複合体(TOR複合体1:TORC1、TOR複合体2:TORC2)を形成することで機能を発揮し、細胞成長や代謝などの細胞増殖に必須なシグナル伝達経路を構成する。TORC2シグナルの制御機構については不明な部分が多く、その要因の一つとして、TORC2の活性化因子に関する情報が少ないことが挙げられる。研究代表者らはこれまでに出芽酵母を用いた研究で、解糖系の代謝物であるメチルグリオキサールがTORC2-Pkc1シグナルを活性化することを明らかにしている。また、メチルグリオキサールを利用した解析により、細胞膜を構成するリン脂質の一つであるホスファチジルセリン(PS)がTORC2-Pkc1シグナルの制御に関わる可能性を見出した。本研究では、PSが関与するTORC2シグナル制御モデルを提唱し、そのメカニズムの解明を目指す。 本年度は、PSのTORC2シグナルに及ぼす影響について検討した。その結果、出芽酵母のPS合成酵素(Cho1)の欠損株において、メチルグリオキサールによるTORC2-Pkc1シグナルの活性化は著しく低下した。また、このTORC2-Pkc1シグナルの活性低下は、PSに特異的に結合するLact-C2ドメインの過剰発現によっても引き起こされた。一方、TORC2は細胞膜直下にドット状に局在することが知られているが、TORC2構成因子であるAvo1のGFP融合タンパク質を用いてCho1欠損株におけるTORC2局在の観察を行ったが、野生株とCho1欠損株との間で大きな局在変化は認められなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
PS合成酵素の欠損、およびPS特異的プローブの過剰発現による細胞内PSのマスクにより、TORC2-Pkc1シグナルに影響がでることが確認でき、TORC2シグナルにおけるPSの関与を示すことが出来たため。
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今後の研究の推進方策 |
TORC2局在へのPSの影響が観察されなかったため、TORC2-Pkc1シグナルにおけるPSの作用機序について解析を進めるとともに、TORC2-Pkc1シグナルのリードアウトの一つであるアクチン極性におけるPSの影響についても検討を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
TORC2局在においてPSの大きな影響が認められず、局在解析に関する実験計画が予定より縮小したため次年度使用額が生じた。 次年度には、次年度使用額を使用して予定している実験計画の充実をはかるとともに、TORC2-Pkc1シグナルにおけるPSの作用機序についての解析に使用する試薬および機器類を購入する予定である。
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