研究実績の概要 |
(1)N-グリコシド化反応:チオ尿素触媒とハロゲン結合供与体の共触媒系を2位に隣接関与基を持たない2-O-Bn-グルコース誘導体に応用し、未だ選択的に合成できていないα-N-グリコシド体の合成を達成した。チオ尿素触媒については、3,5-bis(SF5)C6H3基を有するチオ尿素触媒の合成に成功し、既存のSchreiner触媒より有効であることを見出した。また、ハロゲン結合供与体についてもこれまでのベンズイミダゾリウム型よりも容易に合成できるフェナンスレン型の触媒の創製に成功した。溶媒としてエーテル系溶媒を用いることが重要であり、中でもn-BuOMeが最も高いα選択性で目的のN-グリコシドを与えた。
(2)アミノグリコシル化反応:アミノ化剤の合成法について、収率・スケールアップに課題が残るため、試薬の改良を行った。これまでの反応はオルト位にメトキシメチル基を有するN-アシルイミノヨージナン試薬であったが、オルト位に電子求引性のニトロ基やスルホニル基を導入することで収率の向上に成功した。また、アミノグリコシル化反応の適用拡大として、選択性の制御が難しいグルカール誘導体に適用できることも見出した。また、添加剤としてAWMS(Acid-washed Molecular Sieves)よりもMS5Aの方が収率が向上し、おおむね良好な収率で対応するアミノグリコシル化体を得ることに成功した。さらに、生物活性物質合成への応用も行った。
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