研究課題/領域番号 |
17K15424
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研究機関 | 静岡県立大学 |
研究代表者 |
稲井 誠 静岡県立大学, 薬学部, 講師 (20621626)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | プリンセピン / イソプリンセピン / シュードテスガノール / ホベニン / フラバノノール骨格 / フロフラン骨格 / ベンゾジオキサン骨格 |
研究実績の概要 |
1. プリンセピン,イソプリンセピンの合成研究: プリンセピンおよびイソプリンセピンの合成では,生物活性試験への効率的な化合物供給法の確立,両化合物の絶対立体配置の決定を目的とし研究を行った.実際の合成では,申請者らが見出したp-ニトロベンゼンスルホニル基 (Ns基) をフェノール性水酸基の保護・安定化基とする方法にてプリンセピンおよびイソプリンセピンの共通中間体となるラクトンの合成を完了した.続いて,重要中間体となるベンゾジオキサン骨格の構築も完了し,両者を交差アルドール反応にて連結後,酸性条件下キノンメチド中間体の反応性を制御しながら立体選択的に環化体へと導いた.得られた環化体に対し数段階の変換を行いプリンセピン,イソプリンセピン合計4種の異性体を合成した.現在,絶対配置の決定を行っている.
1. シュードテスガノール,ホベニン類の合成研究: シュードテスガノール,ホベニン類の合成では,共通中間体となるフラバノノール骨格構築法とそれを応用した全合成を目的に研究を行った.モデル合成では,香月-Sharpless反応を鍵反応としてエポキシケトンを合成後,酸性条件に付すことで,フラバノノール骨格の構築方を確立した.引き続き,生成物の光学純の向上および化合物合成の効率向上を目指し検討中である.今後,フェノール性水酸基に導入する保護基の調整により芳香環上の電子密度を調整し環化条件を最適化すると共に,シュードテスガノール,ホベニン類の合成を検討する予定である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
申請書に記載した初年度の計画通りプリンセピン,イソプリンセピンの全合成を達成した.また,シュードテスガノール,ホベニン類に対応するフラバノノール骨格の構築法も確立し,次年度中の全合成達成に十分な筋道をつけることができ,それらの全合成に向けて検討中である. 以上の結果は,概ね計画通りであるため,順調に進展していると判断した.
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今後の研究の推進方策 |
1. シュードテスガノール,ホベニンの全合成経路の確立: 今年度の結果を基盤としてシュードテスガノール,ホベニンの全合成を達成する.これらの合成では,今年度にフラバノノール骨格の構築法を確立しており,この方法とプリンセピン,イソプリンセピンにて確立した方法を併用することで全合成が達成可能と考えている.
2. 複合型ポリフェノール類の生物活性評価と誘導体化 合成した複合型ポリフェノールとその合成中間体を,抗インフルエンザ試験,LDL コレステロール抗酸化試験,抗エストロゲン作用試験などの生物活性試験に提供する.生物活性試験の結果を誘導体合成へフィードバックし,複合型ポリフェノールの化合物ライブラリーを構築する.さらに,構造活性相関研究を行うことで構造の簡略化,より高い生物活性を持つ誘導体を創出する.研究が計画より速く進んだ場合は,同位体ラベル化や蛍光プローブ化を行い,体内動態研究に化合物を提供する.
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