研究課題/領域番号 |
17K15429
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研究機関 | 横浜薬科大学 |
研究代表者 |
奥野 義規 横浜薬科大学, 薬学部, 講師 (90449405)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 固定化触媒 / フロー反応 / グリーンケミストリー / 不斉触媒 |
研究実績の概要 |
近年、触媒的不斉合成の発展に伴い、多様な反応で高選択性を与えるキラル骨格の開発(1)など、次世代のキラル触媒が注目されている。そこで、本研究ではグラフト重合法(幹高分子に別の機能を有する枝高分子を接ぎ木(グラフト)した高分子合成法)を利用することで、キラル高分子を別の高分子に固定化し、高分子上で巨大な不斉環境を形成できると考えた。 これまでに、キラルモノマー(1,1’- binaphthyl誘導体)をグラフト重合することに成功しており、この新規ポリマーを利用した不斉アルキル化反応を実施したところ、収率94%、ee 84%と良好な結果を得ている。しかし、フロー反応において良好な結果を得ることができなかったため、グラフト高分子固定化触媒の高い官能基量を目的とし、放射線グラフト重合の条件検討を実施している。 また、今回は固体NMRを使用することで、より詳細な不斉認識グラフト型高分子の解析に成功している。
同時に、キラル高分子をグラフトすることから、らせん構造をとるといわれているペプチドをグラフトすることを目的とし、プロリン誘導体を用いたグラフト型高分子の開発に着手した。ポリアクリル酸をベースとしたプロリン誘導体グラフト型高分子と、放射線グラフト重合法を用いて、ポリエチレンに直接プロリン誘導体モノマーをグラフト重合した固定化触媒を合成した。また、これらの触媒を充填した循環式フロー法を使用し、不斉アルドール反応へ展開した。その結果、4-NitrobenzaldehydeとAcetoneを用いた不斉アルドール反応において、>99% yield、>99% eeという優れた結果を示した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
放射線グラフト重合を用いたグラフト型高分子の反応条件の検討が順調に進行しておらず、触媒合成が遅れている。そのため、同時にらせんペプチドのグラフトを目的としてプロリン誘導体をグラフト化した新規固定化触媒の合成とそれをもちいたフロー反応による不斉アルドール反応に成功している。
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今後の研究の推進方策 |
現在、低いグラフト率でのグラフト重合でしか、触媒をグラフトすることができていない。反応条件を検討するにも、放射線グラフト重合装置の使用回数にも限りがあり、進捗状況は良好ではない。今後、モノマーの検討を含めさらなる反応条件の検討を行う。
新規キラルモノマーの合成にも着手しており、固定化触媒の改良と放射線グラフト重合条件の検討を行う。
また、同時進行しているらせんペプチド触媒のグラフト化を視野に入れた固定化触媒の開発に着手する。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究計画が遅れており、次年度に新規高分子固定化触媒の開発費用さらにフローシステムの開発費用として使用する計画である。
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