研究課題
らせん高分子(らせんぺプチド)の合成に着手するに至る前に、まず、グラフト型高分子にペプチドの高次構造には欠かせないアミノ酸の一つである、プロリンの固定化を実施した。また、触媒という反応条件に加え、新しい機能性高分子の創生には理想的な反応場の開発も重要なファクターの1つであると考え、触媒と反応場を高分子に固定化したハイブリッド触媒担持高分子の開発と、さらにこのハイブリッド型固定化触媒をフロー法に適用することで、より良好な反応場を実現し高効率な反応系の開発を目的とした。そこで、グラフト型高分子の枝高分子へ反応場の足場となる官能基を有したモノマーを接ぎ木(グラフト重合)し、さらに触媒を高分子上に共有結合で担持させたハイブリッド触媒担持高分子の開発を下記の方法で実施した。今回グラフト型高分子に固定した、プロリンやその骨格であるピロリジンを用いたアルドール反応では、触媒量の酢酸を加えることで、反応中間体であるエナミンの形成を促進することが知られている。このことから、カルボン酸環境(反応場)をグラフト型高分子のグラフト鎖とし、そこへ、プロリン誘導体を担持させた、自己促進型のハイブリッド高分子触媒g-Pro(proline derivative f = 2.0 mmol/g, COOH f = 4.0 mmol/g) を設計し合成した。さらに、g-Proを充填した循環式フロー法を用いた、不斉アルドール反応へ展開した。その結果、4-NitrobenzaldehydeとAcetoneを用いた不斉アルドール反応において、>99% yield、>99% eeという優れた結果を示した。
4: 遅れている
BINOL固定化によるらせん高分子構造の測定の困難による遅れと、さらに、コロナの影響でグラフト重合機の使用制限などが原因として挙げられる。
今後、らせん高分子の設計の変更を考える。らせん高分子の骨格となりうるBINOLかららせんぺプチドのグラフト型高分子への担持へと方向性を変更する。以上のことから、らせんペプチド設計とそれに伴う触媒機能のグラフト重合法の確立を主に研究を進めていく考えである。
コロナの影響で研究の遂行が困難であったため。
すべて 2021
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ChemCatChem
巻: 13 ページ: 1498-1502
10.1002/cctc.202001451